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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

3分診療で鬱診断→向精神薬の強烈な副作用で“絶望の淵”をさまよった2年間

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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「当時は、ストレスが重なり身体も心も疲れ、頭がうまく働かない状況だったので、とにかく医師に話を聞いてもらいたくてメンタルクリニックを受診しました。十分に話ができた感じはありませんでしたが、鬱と診断され初診でリタリンを処方されました」(根本氏)

 根本氏は心身ともに状態が悪く、どうにかしたいとの思いで医師の処方通りにリタリンを服用した。しかし、服用に伴い、改善するどころか生活に支障をきたしたという。

「ひどい嫌悪感、頭が割れるくらいの頭痛。そして、その後は人と会っても言葉がしゃべれなくなる状況や脳が溶けそうな感覚が起こり、人と会って話すことが恐怖になりました。やはりリタリンの副作用かと服薬は中止しましたが、強い副作用がトラウマとなり、人と会うとなると嘔吐をしてしまう状況が約2年間続き、日常生活に大きな支障が出ました」(同)

 そのことについて、医師に相談はしなかったのだろうか。

「医師に相談しても2回目以降の診察は“3分診療”で、あまり相談に乗ってくれるという感じではありませんでした」(同)

 3分診療で心の問題が診断できるとは思えない。医療のあり方を見直す必要があるのではないだろうか。

断薬の後に回復

 友人や親族も心配して、ほかの病院を勧めてくれたという。

「ただ、ほかの病院に行くと診断名も異なり、違う向精神薬が処方されて、何を根拠に病名や薬を処方しているのかと疑問を持ちました。このまま薬を飲み続けても治るとも思えず、むしろさらに悪化すると感じました。そこで断薬をして、薬に頼らず自己の感情の整理や環境を変えたり根本原因を追究して治そうと考えました」(同)

 根本原因の追究とは、具体的にどのようなことか。

「まずは自分との対話から始めました。心が疲れた原因は、仕事のストレスです。また、向精神薬を飲んだことによって起こった恐怖現象がトラウマになっている状況がありました。そこで、環境を変えてまったく別の方向に行くという道もありかと思いましたが、私は自分の身に起こったことにはすべて意味があると信じていましたので、起こったことに直面する道を選びました」(同)

 直面する道とは何か。

「原因から逃げるのではなく、それに立ち向かうことで改善する方向を選ぶ道です。私が経験したストレスは、仕事をしている方の多くが抱えている問題なはずだと思いました。それなら、私だけではなく、同じようなストレスを抱える人の問題も解決できるようなビジネスモデルを考えることが、自分自身を立ち直らせることでもあるし、世の中に貢献できると考えました」(同)

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