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杉江弘「機長の目」

成田空港「陸の孤島」化は運営会社による“人災”…なぜガラガラの羽田に向かわせなかった

文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長
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再発防止のためには各省庁の連携が必要

 成田空港での今回のようなトラブルを起こさないためにこれからやるべきことは、台風等の災害に対する基本マニュアルを省庁間で作成することである。その主管は国交省である。調整しておくべき課題の第一は、羽田空港や茨城空港でも今回のような非常時には入管と通関ができるようにすることだ。羽田に関していえば、すでに国際線のターミナルも拡大されて態勢は強化されているが、それでも人員が不十分とあれば人員を自衛隊のヘリで輸送してもらう方法もあるだろう。その意味で、防衛省との事前調整も必要となってくる。

 第二の対策は、国交省は気象庁からの情報をもとに、鉄道などの計画運休を事前に管轄する立場から、日本を含む世界の航空会社にダイヤ調整や十分な燃料を搭載するように通知すべきである。航空会社にしても、単に空港の天候だけで運航を決定しても、利用者に大きな負担がかかることは本意ではないはずだ。

 一般に、成田上空まで来て十分な燃料が残っていないとなると、ダイバート先は限られ羽田に集中することになる。羽田にダイバートする順番は基本的に先着順であるが、なかには燃料が少なくなっているとの通報で、管制官に優先着陸を要求する航空機も少なくない。進入のための順番待ちで上空待機しているときに、燃料切れを切り札のように使って優先着陸を要求する外国機に私自身何度も不快な思いをしてきた経験がある。公平性を確保する意味でも、特に外国の航空会社には十分な予備燃料の搭載を行うよう指導すべきであろう。

 そして、いつも羽田空港が代替空港として十分に使えるとは限らないために、横田の米軍基地もそれに加えるのはどうか。この場合、入管などは無理としても、一時的に避難して燃料を補給して条件が整ったら成田などに再び飛行できればいい。この問題には外務省もかかわってくるが、非常時対応ということで決して無理な要求ではないだろう。

 このほかにも、さまざまな各省庁間の調整が必要であろうが、それを行わないのであれば、今回のような空港の「陸の孤島」化を回避することはできないだろう。

(文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長)

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