また営業担当者からすると、点数の低い店に行くと、『食べログでの点数が低いためにうちはどんだけ迷惑してると思ってるんだ』とボロクソ言われて、契約にならないんですよ。逆に高い点数のお店に行くと、『食べログさんのおかげでお客さんいっぱい来ています』と感謝はされるけど契約にはならない。もう少しがんばれば売り上げが伸びるというあたりの店を狙っていくことになる。それによって、『標準』で検索すると、3.5あたりの点数のお店がたくさん並ぶことになります。

 3.5以上のお店というのは、『食べログ』からしたらお墨付きで、5%のお店にしか与えていませんと、サイトの中でも明記されているんですね。だけど銀座で検索すると、5153件が出て来ますけど1035件が3.5以上、ほぼ20%なんですよ。六本木だと2371件のお店に対して、392件が3.5以上、16%以上です。渋谷が3154件に対して332件だからほぼ10%。新宿は5077件で386件、7%以上あります。上野は1843件で121件で、6%以上です。

 これに対して『食べログ』は、全体のなかの5%ですからという話をするんです。だけど、その全体の周縁を見ていくと、スーパーマーケットのお惣菜であったり、ファミレスや吉野家や松屋などのチェーン店、そしてコンビニエンスストアのお弁当まで評価されてるんですよ。そういうところはどうしたって高い点数が付くわけないですから、全体というのがかなり広いということになって、まっとうにやっているお店は3.5くらいになっちゃうということになります。ただ、口コミ件数が少ないと点数は高くなりません。地方とかで『食べログ』をやっている人が少なかったりすると、いいお店なのに3.0くらいのところもけっこうあるんです。地方でのお店選びでは、3.5以上にこだわる意味はないといえます」

「お店寄り」

 点数を金で買えるという噂とともに話題になったのは、店が望んでいないのにページをつくられ悪評が書かれるということだ。「食べログ」ユーザーを出入り禁止にする張り紙をする店まで現れた。

「そもそもの口コミサイトという性格から、行ったお客さん自身が『食べログ』にお店のページをつくることができます。『新しいお店を登録』というアイコンをクリックして入って行き、店名や住所、電話番号などの詳細情報を入れて口コミを書くと、『食べログ』はお店の存在を確認して載せます。応援してあげようということでページをつくってあげるなら、お店は歓迎するでしょう。

 だけど、何か気に入らないことがあって、クレーム的な内容を書きたくてつくっちゃうという場合、お店としては迷惑ですよね。料理が出てくるのが遅かった、と『食べログ』に書かれた札幌の飲食店店主がページの削除を求めて、2013年に札幌地裁に提訴したことがありました。判決は店の主張を認めず敗訴、札幌高裁でも同様で、最高裁は受理せずに確定しています。『食べログ』としては、飲食店という公共的な場所なんだから、街の風景を描写するのと同じだし、表現の自由もあるという主張でした。札幌高裁も『社会的相当性のある口コミであれば、店舗側に営業上の損失が発生したとしても甘受すべき』と判示しています。

 クレーム的なことではなくても、口コミの時点から何年か経っていて、そこで書かれているメニューはもうないとか、リニューアルして投稿されている写真と内観が変わっているからということで、お店の側から取り下げてほしいという要望が出てくる場合もあります。あくまでもその当時の感想なのだからいじりません、というのが『食べログ』の基本的なスタンスですが、話し合いの結果、要望に応じたケースもあります。どんな口コミでも無制限に許されているかというと、そんなことはなくて、お店側の意見を聞いて、この部分は確かにひどくて営業妨害になりかねないという場合、書き込んだレビュアーに対して、差し戻しますと言って、書き直しを求めるんです。

 ストレス発散で書いているクレーマー的なレビュアーだったりすると、『ちくしょーあの店がチクったんだな』とカンカンに怒って、もっとひどいことを書いたり、ガクッと点数下げたりすることになります。3.0付けてたところを、いきなり1.0を付けたりするわけです。だけど『食べログ』は、トラブルのあったお店の店数を下げることを禁止しているんです。あまりにもひどい場合には、書き込み自体を取り下げてしまう。トラブルをいっぱい起こしすぎているレビュアーは退会させるという対処もしています」

  言論の自由といっても無制限にそれが許されているわけではないのと同じように、常軌を逸した口コミが制限されるのは当然だろう。口コミに関する公正さは保たれているのだろうか。

「私自身、レビュアーであるわけなんですけど、『食べログ』が広告費を取るようになってから、ちょっとお店寄りになっているなっていう気がします。出された料理のお皿がちょっとだけ欠けていたことがあって、それを投稿したら、『事実確認ができません』といって差し戻されたんです。欠けたお皿の画像も投稿しているわけですけど、『そのお皿がそのお店のものかどうか事実確認ができない』というわけですね。『料理の感想を書いてください』って戻ってくるわけなんですけど、サービスやロケーションという項目もあるわけだから、お皿が欠けているのはサービスの問題じゃないかと思うんですよ。

 私は昔タバコを吸ってたので、絶対的な拒絶感はないんですけど、換気が悪かったり、風の流れでタバコの煙が一カ所に固まったりしていて、けっこうきつかったお店があったんです。タバコが苦手な方は避けたほうが無難かもしれません、という口コミを書いたんです。そのなかに『タバコをぷかぷか吸う人たちがけっこう集まっていた』という表現があったことで、他のお客さんたちへの非難に当たる可能性があるということで差し戻されました。他のお店の口コミにはその手の表現もあるので、お店からのクレームがあったんだと思います」

 公正取引委員会が調査しようとしているのは、『食べログ』と飲食店との関係。しかし社会的には、ユーザーとの関係、広告媒体と口コミサイトの両立が成り立つのかが問われているのかもしれない。

(文=深笛義也/ライター)

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