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藤野光太郎「平成検証」改正水道法の急所(5)

安倍政権の水道民営化、海外では水道料金高騰・水質汚染・汚職が社会問題化

文=藤野光太郎/ジャーナリスト
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 他方、「官民連携」を御旗として制定されたPFI法は、「地方自治法」との整合性を巧妙に図りつつ、ここ数年でさらに改定されていた。政府は自治体をコンセッション契約(事業の運営権を企業に売却する仕組み)に踏み出させるインセンティブの法的根拠を整え、水道を含む公共・公益事業への巨大企業参入にさらなる拍車をかけるための規制緩和を繰り返してきたのである。PFI法や周辺法の改定・整備で「改正水道法」の法的正当性を巧妙に担保し、そのために公僕たる官僚の頭脳が動員された。そして、議会が利用料金の値上げを認めざるを得ないよう、料金決定に関する根拠法に手を入れたのである。

 改定前の水道法は第14条「供給規程」の第2項の1で、「料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること」とされていたが、改正法では、この条文に「健全な経営を確保することができる」との文言を加筆挿入することで、総括原価計算に改修費等の資産維持費を「その他の出費」と共に算入しやすくした。総括原価制度は、全費用を利用料金に反映させられる。自治体と運営権者は今後、蓄積され巨額化してしまったコスト負担を利用者に転嫁する料金値上げが比較的容易に実現できる。これまでためらってきた「原価算入」の背中を押す条文改定が行われたため、議会が反発しても料金規程の条例改定を強行できる見通しが立ったからである。

 これによって、コンセッションを導入した自治体の水道料金は、民間企業の要求に応じて比較的容易に値上げしやすくなり、コンセッション契約が破棄/終了しても、以降の水道料金は高止まりのまま自治体が受け継げるわけだ。コンセッションの運営権者は複数企業の連合体であり、各々に配分し得る利益幅を設定できる。

 従って、必要コストのみ上乗せする自治体の値上げとは異なり、水道コンセッションで民間企業が請求する料金は、「通常の運営コスト」に「+老朽化した管路改修コスト+特別目的会社の全社に配分する利益+配当金等」が加算された金額を利用水量で割った金額となる。放置すれば、いずれはその料金徴収が始まることになる。

 以上のように、「老朽化した管路改修コスト」の原価算入をためらってきた自治体の足元を見て改定されたのが「改正水道法」だということを、本連載(1)~(4)で明らかにした。

 この10月1日の改正法施行で各地の自治体が「水道コンセッション契約」に走った場合、水道利用料金の値上げは今後、次のような「段取り」と「算出法」で行われるだろう。

(1)運営企業が自治体との定期会議で「そろそろ利用料金を上げたい」と事前打診し、その前提でコンセッション契約した自治体は当然のようにこれを内諾。

(2)運営企業は、「現行の水道料金単価」と「当該年度から数年後までの水道使用量の見込み額」を試算し、料金収入を試算(収入総額の予測)。

(3)同時に、「利益、その他」を非開示のまま、同じく「当該年度から数年間に必要となる施設維持管理費や更新費用」を総括原価方式で試算(費用総額の予測)。

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