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伊藤忠を間一髪で救った名広報部長、逝去…世界を揺るがせた東芝機械ココム違反事件の真相

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 東芝機械は機械部品とNC装置に入れるコンピュータープログラムを通産(現経済産業)大臣の承認を受けずにソ連に輸出した疑いがもたれていた。通産省は同年四月二十八日、東芝機械を外為法違反で警視庁に告発していた。ポイントは、対共産圏輸出委員会の禁制品を、そうではないと偽ってソ連に輸出したかどうかにかかっていた。警視庁は「ココム違反を承知で輸出した会社ぐるみの犯罪」と断定し、幹部への強制捜査に踏み切った。

 ソ連はこの機械を使い、潜水艦のスクリュー音を小さくする技術を開発した、と米国は指摘、苛立ちを募らせていた。逮捕されたのは東芝機械の材料事業部鋳造部長の林隆三と、工作機械事業部工作機械第一技術部専任次長の谷村弘明の二人。不正輸出した当時、林は工作機械事業部長室長、谷村は海外本部工作機械輸出部専任課長で、「無承認対ソ輸出」の中心的な役割を果たしていた。

 調べによると東芝機械は一九八二(昭和五十七)年十二月から翌八三年六月にかけて、伊藤忠商事と和光交易の仲介で全ソ連技術機械輸入公団に対し、船舶推進用プロペラ表面加工機四台を輸出した。この機械は前後、左右、上下、回転運動など九つの方向に刃先が同時に動く、同時九軸制御の高性能機械だ。三軸以上を同時制御できる機械は輸出できない、というのがココムのルールだ。最初からココムに引っ掛かることがわかっている機械だった。

 そこで東芝機械では「二軸しか制御できない」と偽の申告をして、「ココムに違反していない」という通産省のお墨付きを手に入れた。「機械本体の輸出は時効(三年)のため、部品とコンピュータープログラムの不正輸出に的を絞り、二人を逮捕した」(捜査関係者)という。東芝機械ではこの機械を重電機工場に据え付けた、と説明しているが、レニングラードの造船所で使われていたことも判明している。東芝機械製のすぐれ物は、原子力潜水艦のスクリューの製造に役立つからだ。

 問題の工作機械は原潜の大型プロペラを作るレニングラードのバルチック造船工場に運び込まれた。重電機用というのは真赤な嘘だった。軍事転用を承知の上で、不正輸出を図った疑いが強まったとして、捜査当局は関係者を厳しく追及した。軍事転用は重大である。逮捕された二人のほか、外為法の両罰規定を適用して、東芝機械とソ連の友好商社、和光交易の二法人と両社の元役員など関係者七人を書類送検した。

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