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工藤貴宏「幸せになるためのクルマ選び」

東京モーターショー、凋落が鮮明だが…規模は中国ショーの4分の1、海外メーカーが続々撤退

文=工藤貴宏/モータージャーナリスト

 さらには、インターネットの普及も大きく影響しているだろう。かつては実際に会場へ足を運んで自分の目で見ないとステージ上のコンセプトカーなどを実感できなかったが、今ではパソコンどころか、スマートフォンによってどこにいても情報を得ることができる。ネットにより、モーターショー情報の量は媒体が紙しかなかった頃と比べて格段に増えている。

 それらの複合的な要因が混ざり合って、先進国のモーターショー離れが引き起こされていると考えられる。

中国をも上回るバンコクのモーターショー熱

 とはいえ、モーターショーの地盤沈下が世界のどこでも起きているかといえば、そうではない。

 たとえば、中国では毎年、北京と上海で交互に国際モーターショーが開かれているが、驚くほどの大盛況だ。今や中国が世界最大の自動車マーケットであり、さらなる拡大が見込めるとあって、世界中のメーカーが鼻息を荒くしながら出展している。会場規模も東京の約4倍と信じられない広さで、間違いなく世界最大の自動車ショーである。

 また、タイの「バンコクモーターショー」やインドネシアの「ジャカルタモーターショー」なども、一般公開日は会場の混雑ぶりに驚くばかり。それらの国は中国と同じく、今後さらに市場規模の拡大が予測されるので、世界の自動車メーカーが積極的に参加し、自国の自動車メーカーがないとはいえ、国際色は東京をはるかに上回る。

 そして、公式発表値で比べると、バンコクモーターショーを訪れた人の数は160万人と東京モーターショーの2倍以上で、中国で開催されるモーターショーをも超えて世界最多だ。人々のクルマ熱が高く、クルマが憧れの対象であることも、中国や東南アジア地域におけるモーターショーが大盛況となっている大きな理由だろう。

 今年の東京モーターショーは、イベントのあり方を従来とは大幅に転換し、「見るショー」から「体感するショー」へと変化している。はたして、その変化がイベントの盛り上がりにどう影響を与えるのか、実に興味深いところだ。

 そして言えるのは、かつて会場内のあまりの混雑ぶりに「クルマではなく人を見に行くようだった」と言われていた頃に比べると、来場者が少なくなったことで、展示がかなり見やすくなった。クルマを見に行く人にとっては、来場者数減はむしろ好都合なのである。

(文=工藤貴宏/モータージャーナリスト)

工藤貴宏/モータージャーナリスト

工藤貴宏/モータージャーナリスト

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆中。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。
執筆媒体はモーターファン別冊新車速報シリーズ(使い勝手チェック及びバイヤーズガイド担当)、ガルヴィ(新車紹介記事担当)、カーグッズマガジン、RESPONSE、&GP、goo-net.com、gazoo.com、くるまのニュース、clicccarなど。国産車を中心に新車から中古車まで幅広く原稿を手掛ける。
本当はスポーツカーが好きだけど、ミニバンや軽自動車も得意。
現在の愛車は10年乗ったポルシェ・ボクスターSから乗り換えたルノー・ルーテシアR.S.とマツダ・プレマシー。

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