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ソフトバンク、経営不安広まる…巨額投資先のウィーワークが資金繰り悪化、崩れる投資戦略

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

重要な局面を迎えつつあるソフトバンク

 今後、ソフトバンクの経営に対する利害関係者の目線は厳しさを増す可能性がある。同社はウィーカンパニーの経営改善を実現し、業績懸念を払しょくしなければならない。ソフトバンクの成長は孫氏の企業家を見極める力に依存してきた。人を見抜く孫氏の能力は突出している。同時に、環境の変化への対応という点においても、孫氏の役割は大きい。ウィーワークに対して、孫氏は迅速に従来の方針を改め、厳正な対応を求めた。

 そして23日には、ソフトバンクはウィーカンパニー株の追加取得や融資などを通じて最大95億ドルを出資すると発表した。

 ただ、孫氏一人がこうした決定を下す体制が続くことは、企業経営の持続性を高めるうえで適切と言えない。ソフトバンクには、投資戦略の修正などを含め、孫氏と同等の目線から必要な意思決定を下すことのできる人材が求められる。将来の展開は不確実だ。常に、孫氏の決断が成長につながる保証はない。孫氏がすべての投資先企業の経営をしらみつぶしに調べ、必要な対策を講じることにも限界がある。ソフトバンクは、孫氏の感覚とリスク管理のバランス感覚を持つ後継者候補を見いださなければならない。これまでにもソフトバンクは国内外から優秀な実績あるプロを呼び、孫氏の後継者を見いだそうとしてきた。

 すでに米国ではGAFAをはじめとするIT先端企業への成長期待が陰り始めた。景気後退への懸念も高まっている。投資の極意は、いかに安値で買うかに尽きるといっても過言ではない。テクノロジー企業への投資によって成長を目指すソフトバンクの真価が問われる環境が近づいているともいえる。

 今後、ソフトバンクは、ウィーワークの経営改善と自社の経営体制の整備に取り組むこととなるだろう。この2つがどう進むかによって、利害関係者のソフトバンクの経営に対する信頼感は大きく変わるだろう。後継者の発掘を含め、どのようにして利害関係者の安心と納得を得られる経営体制を整備するか、ソフトバンクは重要な局面を迎えつつある。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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