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加齢に伴う嗅覚の低下、健康状態に影響…認知症の初期症状の場合も

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「Getty Images」より

 読者諸氏はにおいに敏感だろうか。最近では、嗅覚が健康維持にも重要なことがわかっている。一般的に、加齢に伴い嗅覚は次第に低下するといわれるが、医療現場で働く筆者は、その事実を痛感している。男女とも加齢に伴い嗅覚の低下を訴え、医療機関を受診する患者が少なくないのだ。加齢やストレスにより、鼻の奥にある嗅覚のセンサーである嗅細胞が減少し、脳へにおいが伝わっても、なんのにおいか判断できなくなる。認知症の初期症状のひとつの現れである場合も多く、嗅覚の研究が急がれている。

 人間の三大欲求は、食欲、睡眠欲、性欲とされる。嗅覚が低下すれば、味も感じにくくなり、食べる楽しみは奪われる。また、意外に思うかもしれないが、嗅覚の低下は性欲の低下につながることもある。多くの昆虫や動物が、フェロモンによって情報の受け渡しや行動変化を起こすことは広く知られている。たとえば、メス犬は発情期には性器から特殊なフェロモンを発して、オス犬はそのにおいで発情する。人間のフェロモンについては研究段階にあり、まだすべては明らかになっていないが、人間の腋の下から、700から数千種類のにおいの元となる分子が発せられているという。

 男女は、無意識にお互いのにおいに惹かれているとの説もあるように、パートナーのにおいに安らぎを感じることを体験している方も多いだろう。

 加齢やストレスのほかにも、鼻炎や花粉症が嗅覚の低下を招くこともある。においを感じる臭細胞は鼻の奥の嗅上皮にあるが、炎症により鼻の粘膜が腫れて厚くなってしまったり、ポリープなどがあると、においが鼻の奥まで届かず知覚できなくなる。副鼻腔炎や風邪による炎症でも、同様のことが起きる場合がある。鼻の粘膜に炎症が起きた状態を放置した結果、嗅覚障害を招くことがあるので、しっかりと治療してほしい。

 近年、「スニフセラピー」という、嗅覚を鍛える方法が注目されている。スニフセラピーはアメリカで開発された治療法で、好きなにおいを3~4種類用意し、1日に4~6回そのにおいを嗅ぐことで嗅覚を活性化させる。QOL(生活の質)の維持と認知症予防のためにも、スニフセラピーを試してみてはいかがだろうか。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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