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中谷明彦「クルマの匠(Professional)」

グレーゾーンの多い道路交通法のせいで交通事故が多発している現実

文=中谷明彦/レーシングドライバー、自動車評論家
グレーゾーンの多い道路交通法のせいで交通事故が多発している現実の画像1
「Getty Images」より

 今回は交通政策と自動運転技術についての私見を述べたい。

 前回、煽り運転についてレポートしたが、この間にまたしても大変な煽り行為がマスコミを賑わした。ドライブレコーダーの映像により犯人は検挙され、厳しく罰せられることになると報道された。しかし、その騒ぎが収まりかけた途端に、今度は煽り運転しながらエアガンを使い対象車両に向かって射出するという異常な事態も報道された。また、僧侶が煽り行為に及んだこともニュースになった。本当に世も末だ。

 今回テーマとする交通政策とは、道路交通行政、道路交通法のことだ。自動車を運転する者は運転免許を取得しなければならず、筆記試験や実技試験を通じて道路交通法を熟知し、それに準拠した運転ができるかどうかが審査される。運転者はお互いに免許を取得しているという信頼関係を元に、道路交通法に準じた譲り合いや優先権に従って運転しているわけだ。

 だが、この道路交通法もグレーゾーンが多くあり、予期せぬシーンに直面したら運転者が自ら正しく状況判断し、安全を最優先に運転しなければならない。その結果、不幸な事故につながったり、たまたま現場に居合わせた警察官と判断が異なって検挙対象とされたり、納得しかねる状況に追い込まれることも長く運転していると出くわす。

 それは道路が複雑で、また完璧に整備されていない場所がほとんどであることに起因する。たとえば、一般道路ではほとんどが対向車のある対面通行となっている。道幅6メートル以下ではセンターラインの引かれていない道路も多い。

 考えてみれば対面通行ほど危険な状態はない。速度制限40km/hで走っても車線逸脱等で対向車と正面衝突すれば80km/hでぶつかるのと同じことになる。こうした道路で対向車とすれ違う時は、双方が20km/h以下に速度を落とさなければ40km/h制限の意味がないではないか。ぶつかる対象との相対速度差が重要であって、「自分は制限速度を守っていたから非がない」と主張することは意味がないのである。

 だが、この40km/hの制限速度設定にも明確な定義がないのが問題。「このくらいならいいだろう」的な制限速度設定がほとんどで、理論的な検討がされることはほぼ皆無といえる。理論的に考えれば対面交通は廃止すべきで、すべての道路は一方通行にするか明確な分離帯を設けるべきなのだ。

中谷明彦/レーシングドライバー、自動車評論家

中谷明彦/レーシングドライバー、自動車評論家

武蔵工業大学工学部機械工学科卒。15歳でカートを始め大学在学中にフォーミュラカーデビュー。卒業後はカートップ誌編集部員として働き1985年にプロ・レーサーへ転向。1988年全日本F3選手権でチャンピオンを獲得し、以降全ての全日本選手権、全ての国内サーキットで優勝を納める。三菱自動車ランサー・エボリュ−ションV〜Xの開発に寄与し、スーパー耐久レースではランエボを駆って50勝を記録。5回の年間覇者となる。バサーストやマカオGP、ル・マン24時間レースなど海外レース活動経験も豊富だ。1997年にドライビング理論アカデミー「中谷塾」を開設し、佐藤琢磨(第一期生)を輩出した。ドライビングやメカニズムの理論に精通。近年は中国メディアでも活動し、知名度が高い。2018年5月に慢性骨髄性白血病を発症したが、抗がん剤治療を受けつつ活動を継続。日本の代表的名ドライバーとして「Legend Racing Drivers Club
」のメンバーでもある。

Twitter:@nakaya_juku

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