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野村直之「AIなんか怖くない!」

「AIは自ら学習し考える」という大いなる誤解…AIへの不安解消!エッセンスを解説

文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員
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深層学習、AIは決して万能ではない

 今日のAIは全て道具です。道具は専門能力で人間を凌駕しなければ存在意義がゼロです。ですから、生まれながらに人間の能力を超えていて当然なのです。次回以降でとりあげる、正解データを自動生成できるタイプのAIでは、さらに顕著に人間の能力を超えます。

「AIが自ら学ぶ」という言い方など、メディアや、諸方面の専門家の言説には誤解を招く表現が溢れています。AIは「機械的に、自動で特徴を抽出する」というのが実態で、「学習」という言い方すら、一般の人向けには不適切ではないかと感じます。大量の正解データを用いた「トレーニング」と表現すべき。もしくは漢字で書くなら「調教」というあたりが適切な表現になるでしょう。

 そして、「AIというからには人間のようになんでも考えて良きにはからってくれるだろう」みたいな大きな誤解は、一刻も早く、解消しなければなりません。そのようなAI(強いAIといいます)は存在しません。つくれる目途もたっていません。今日のAIは特殊な1つの専門業務しかできません。そのようなほとんどのAIを開発するには通常、正解データづくりを中心に大変な手間、コスト(時間とお金)と、AI専業者のノウハウが必要です。

 今回、初回のポイントを図解すると、図2「深層学習、AIは万能の打ち出の小槌ではない」とまとめられます。ドラえもんのような一体のAIがいるというのは完全な誤解です。AIという1つの技術があるのではなく、千差万別のさまざまなAIがあります。各々が各々の専門能力で優れた性能を発揮することになります。

 しかし、開発にはコストがかかるし、保守、運用にもデリケートなところがあります。このあたり、今後の連載で具体的に取り上げてまいります。他に、AI時代に、なくなる仕事以上にたくさんの新しい仕事が生まれること、人間がクリエイティブな仕事にシフトするにはどうしたら良いか、AI開発・運用に必要な人材育成、自学自習のための人文科学や音楽・美術の効能などの話題も取り上げてまいります。

「AIは自ら学習し考える」という大いなる誤解…AIへの不安解消!エッセンスを解説の画像3
図2 深層学習、AIは万能の打ち出の小槌ではない

(文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員)

●野村直之

AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科次世代病理情報連携学講座研究員

1962年生まれ。1984年、東京大学工学部卒業、2002年、理学博士号取得(九州大学)。NEC C&C研究所、ジャストシステム、法政大学、リコー勤務をへて、法政大学大学院客員教授。2005年、メタデータ(株)を創業。ビッグデータ分析、ソーシャル活用、各種人工知能応用ソリューションを提供。この間、米マサチューセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所客員研究員。MITでは、「人工知能の父」マービン・ミンスキーと一時期同室。同じくMITの言語学者、ノーム・チョムスキーとも議論。ディープラーニングを支えるイメージネット(ImageNet)の基礎となったワードネット(WordNet)の活用研究に携わり、日本の第5世代コンピュータ開発機構ICOTからスピン・オフした知識ベース開発にも参加。日々、様々なソフトウェア開発に従事するとともに、産業、生活、行政、教育など、幅広く社会にAIを活用する問題に深い関心を持つ。

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