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成馬零一「ドラマ探訪記」

連ドラ『本気のしるし』の“不穏”な魅力…ローカル局×映画監督が生んだ傑作

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本気のしるし – 名古屋テレビ【メ~テレ】」より

 ひたすら不穏。

 連続ドラマ本気のしるし』の魅力を挙げるならば、この一言に尽きるだろう。

 本作はメ~テレ(名古屋テレビ放送)で月曜深夜0時54分から放送されている恋愛ドラマだ。原作は2000~02年にかけて「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載されていた、星里もちるの同名漫画。監督は『淵に立つ』や『よこがお』といった映画で高く評価される深田晃司が担当している。

 まず印象に残るのは、画面のルックだろう。本作はほかのテレビドラマと比べたとき、明らかに異質である。映像は引きの絵が多く、顔のアップが少ない。画面も薄暗く、劇伴がないため、自然音が耳に残る。一応、画面のレイアウトは劇映画風でユーチューブなどにある素人の映像とは違うのだが、見ているときの印象は、つくられた物語を見ているというよりは、とある男女の生態を盗撮しているかのようだ。しかも、この男女の姿はめっぽう不気味でおもしろい。

泥沼にハマる男女の悲哀

 物語は、サラリーマンの辻一路(森崎ウィン)がコンビニで地図を見ている女性・葉山浮世(土村芳)に声をかけるところから始まる。コンビニでは何もなかったが、辻が夜道を歩いていると、クルマを運転する浮世が線路の踏切で動けなくなっている場面に出くわす。辻は踏切からクルマを押し出し、なんとか浮世を救出したが、クルマはほかのクルマに衝突してしまう。ここまでは恋愛ドラマの導入部という感じなのだが、ここから物語は俄然、怪しくなる。

 警察の取り調べで、浮世は運転していたのは辻だと言い、責任を押し付けようとする。口論の末、自分が運転したと認めた浮世だったが、なんとその場で辻からお金を借りていなくなってしまう。後日、辻のもとには電話が入る。実はあのクルマはレンタカーで浮世が借りていたものだったのだが、浮世が書いた住所と連絡先はデタラメで、レンタカー会社は車内にあった辻の名刺を頼りに電話してきたのだ。

 その後、物語は浮世を追いかける辻の姿を見せていくのだが、おそらく視聴者が最初に引き込まれるのは浮世のダメ女ぶりだろう。浮世は、騙されて契約した高額の精力剤を売る仕事で商品を売れず、買い取り契約だったために多額の借金を抱え、風俗に売られそうになる。そんな浮世を、辻はその都度助けて、そのたびにお金を貸してしまう。

 そんな浮世の、弱さからくる人としてのだらしなさは、男にとっては独自の色気となっている。そのため、彼女と接した男は「オレがなんとかしてあげないと」と思いこんでしまうのだ。浮世も断りきれずに愛想笑いを浮かべながら相手の要求を受け入れてしまうのだが、だんだん関係がこじれていき、最終的に男の側がいら立ち、ストーカーみたいになってしまう。そんな浮世に引かれた男が次から次へと登場し、辻も彼女を見捨てることができず、どんどん泥沼にハマっていく。

ローカル局×映画監督が生んだ傑作

 こう書くと、浮世のヤバさが作品のすべてに聞こえるかもしれないが、実は主人公の辻の姿も、見ていて気持ちがざわつく場面が多い。

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