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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

糖質制限ダイエットが体と脳を壊す…炭水化物を“正しく”食べることが重要

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 また、一旦ブドウ糖をエネルギー源として使えなくなった体に再びブドウ糖が入ってくると、すべてが中性脂肪となり、皮下や内臓の周りに貯えられることになります。それがリバウンドです。話を聞かせてくれた2人の女性は、このリバウンドに苦しみました。

 極端に炭水化物を制限すると、体力を維持するために必要な最低限のエネルギーを得られなくなる場合があり、その時、体は筋肉を分解してエネルギーを得ようとすることがあります。もちろんそれによって体重は減るのですが、到底、健康的なウエイトロスではありません。体は生命の危機を感じ取り、炭水化物に対しての強い欲求が生まれますが、それをも拒絶すると、健康のレベルは大きく下がります。

 私たち人間にとって、もっとも重要な体の器官は脳でしょう。もちろん、言うまでもありませんが、体の中に無駄なものなどひとつもありません。だから、あえて優先順位をつけるなら、ということですが、脳の活動が停止してしまったら、生命は危機的な状況に陥る、ということを否定する人はいません。その脳の活動の源はブドウ糖です。血糖値が70mg/dl以下に下がり、いわゆる低血糖状態になると、脳の活動に支障をきたすことがわかっています。だから体は、そうならないように、さまざまな犠牲を払ってでも血糖値を維持しようとするのです。それは、生命の根源的な働きといってもいいかもしれません。

 血糖値をなるべく一定に、長時間維持するためには、穀物を摂取することがもっとも合理的な方法です。それを人類は経験的に学んできたのです。どの民族も、食事になんらかのかたちで穀物を取り入れていますが、その背景には血糖値を維持するシステムを守りたい、という欲求があるからなのです。

 しかし、穀物を精製してしまうと、その性質はガラッと変わってしまいます。私たち人類に適した食べ方は、あくまでも未精製の穀物(複合炭水化物)を食事の中に取り入れることなのです。

 健康なんてどうでもいいから、とにかく痩せたいという考えであるならば、糖質制限ダイエットは、とても向いていると思います。しかし、もしそれに取り組むならば、絶対に医師の指導の下で取り組むべきです。通っているジムの方に強く勧められたからといって、安易に取り組むべきではありません。

 それよりも、単純に炭水化物の摂取を制限するよりも、炭水化物を未精製のものに、つまり複合炭水化物に変えるほうが、圧倒的に合理的で安全です。ついでに、穀物の半分程度の量の豆類をプラスすれば、より最適(オプティマル)な食事に近づけることができます。

 筆者のこの意見に耳を傾けて、やってみようかと迷っていた糖質制限ダイエットを思いとどまり、健康を害することなく最適な食生活を送られる方がひとりでも多くなることを願ってやみません。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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