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認知症とお金のはなし

「任意後見」「家族信託」をしておかないと、認知症の親のお金を使えなくなる!

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「Getty Images」より

 本連載過去2回の記事では、親が認知症になると銀行口座が凍結されてお金を下ろせなくなり、成年後見人をつけると多くの場合、第三者がお金を管理することになるとお伝えし、これまで通りに家族が管理できる方法として、「任意後見」という制度があると紹介しました。

 ところが、ある80代の女性は、任意後見制度を利用した場合、家族のことで心配があるようです。その相談内容を見てみましょう。

 先日は相談にのっていただき、ありがとうございました。
教えていただいたとおり、早速、公証役場に行って、娘と任意後見の手続きをしてきました。これで、私が認知症になっても娘から引き続き面倒をみてもらうことができますね。
 でも、公証役場で、気になることを言われました。
 私には就職したばかりの孫と、高校生になる孫がいます。就職したばかりの孫は、まだ早いですが、結婚するときに結婚資金を出してあげたいです。高校生の孫には、孫が大学に行くときは、少しは学費を出してやりたいと思っています。
 でも、そのような話しを公証人の先生に言ったら、「それはちょっと難しいかもしれません」と言われました。
 任意後見をしていても、私が認知症になると、孫のためにお金を出すことはできないのでしょうか?
 何かいい方法はないのでしょうか?

任意後見をしてみても不安が……

 親が認知症になっても、そのお金や不動産などを家族が管理できる制度として、「任意後見」があります。これは元気なうちに、自分が認知症になったら面倒を見てくれることをお願いする制度です。任意後見をしておけば、これまでどおり自分の家族がお金や不動産の管理をしてくれます。

任意後見人に指定

 しかし、この任意後見には、できることに制限があるのです。お金や財産の使い道は、あくまでも本人(事例ではお母さん)のために限られます。したがって、「孫のために結婚資金を出してあげたい」「孫が大学に行くときに学費を出してあげたい」など、家族とはいえ本人以外のために使うのは難しいのです。

 このような願いは、認知症になってしまうとかなえられないのでしょうか。

「家族信託」という解決方法

 大丈夫です。「家族信託」という方法なら、お母さんの願いは叶えられます。お母さんが元気なうちに、家族信託をしておけばいいのです。「家族信託」とは、一言で言うと、このような契約です。

 私(母)の財産を、あなた(娘)に託します。だからこの財産で、私や家族のことを頼みます。

 家族信託とは、個人間で行う信託です。投資信託とはまったく関係ありません。信託銀行も関係ありません。利益や収益を追うものではなく、自分や家族を守るための制度です。

 自分が望む人に、自分が望む内容で、財産管理をお願いするための新しい制度(法律)なのです。平成19年に、信託に関する法律が大幅に改正されて、信託銀行を通さない個人間の信託が可能となりました。家族でなくても、信頼できる友人などにも信託できます。

お金を娘に家族信託すると……

 信託をするには、まずは信託のための契約書をつくります。信託に精通した専門家に依頼すればつくってもらえます。

 そして、お金を信託すれば、お母さんのお金を娘が自分で出し入れできます。お金の保管する口座も娘の口座になります。娘が自分の名義の口座からお金の出し入れをするので、お母さんが認知症になっても、問題は生じません。娘さえしっかりしていればいいのです。お金を何に使うかは、信託の内容で自由に決められます。

 自分の生活費や介護、医療費用、孫の大学資金や結婚資金、その他家族のためのお金などなど。

 このお母さんは、孫のために結婚資金を出してあげたい、教育資金を出してあげたい、というお気持ちがありました。それが、家族信託をしておけば、認知症になっても実現可能です。

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