東京・足立市場は穴場スポットだった…安くて極上の「市場めし」、築地の魚河岸的ノスタルジーの画像4
午前5時。マグロの競りが始まる直前まで、仲卸業者が下見を続ける。尾を切り落とした部分に懐中電灯を当て、脂の乗りを見極める。

 三豊商店をおいとまし、仲卸売場内にあるマグロ専門店の店頭に並ぶマグロのサクやブツを覗き込んでいると、その隣のマグロ仲卸の店員が、「ちょっとウチのも見て」と誘いに来て、筋のない上品な脂ののった部位のサクを、目の前でブロックから3本切り出し、「これで2000円でどう?」と勧めてくる。その活気には圧倒されるばかり。仲卸売場でなければ絶対に体験できない醍醐味だ。 

 足立市場の仲卸売場内にはおよそ50店舗があり、水産物なら珍しいものでもここ1カ所でほとんど手に入る。小規模ながらも、決して豊洲にも引けを取らない品揃えの良さが魅力だ。

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この日の本マグロには、佐渡産の国産モノも。小ぶりでも美味そう。

足立ならではの「市場めし」の数々

 足立市場の魅力はこれだけではない。市場内には、仲卸店舗から仕入れたばかりの新鮮な魚介をふんだんに使ったメニューを提供する飲食店が5軒(寿司屋、海鮮丼屋、定食屋2軒、蕎麦屋)ある。しかも、豊洲市場内の有名飲食店のような長い行列に並ぶ必要もない。安くて美味くてボリューム満点なのに、知る人ぞ知る“穴場”的存在だからだ。

 本マグロの「血合い下」や「背トロ」を使った中トロ握りが絶品の「武寿司(たけずし)」では、すべて千住の魚河岸で仕入れたネタで握る。大きな声では言えないが、お決まり(1人前)なら豊洲場内の寿司屋よりも1000円以上安い。旬のネタ13種がテンコ盛りになった「特盛ごうか海鮮丼」(税込み1600円。あら汁付き)が看板メニューの「市場めし とくだ屋」は、足立市場の鮮魚仲卸「青木」が経営する店。店主の阿部匡寿(まさとし)さんが胸を張る。

「朝に入荷した新鮮な魚介の中から、その日の『13種』を決めるんです」

 自家製だし醤油をかけてから箸で掻き込むと、口の中に潮の香りと魚介の旨味が絶妙なハーモニーで広がる。全国各地の好漁場で獲れた魚介をこの価格で提供できるのは、仲卸直営店だからこそできる芸当。

 足立市場でしか食べられない「ねぎま蕎麦」(税込み600円。蕎麦屋「たけうち」)は、足立名物の「ねぎま鍋」から生まれたメカジキ入りの蕎麦。繊細で上品なその味は、立て続けに2杯食べたくなるくらいの旨さだ。

 ご飯の大盛り無料の日替わり定食(さばのみそ煮定食など。税込み500円。定食屋「かどのめし屋」)や、脂が乗って新鮮な大ぶりの国産アジを揚げた「アジフライ定食」(税込み900円。定食屋「しいはし食堂」)は、ボリューム満点の「市場めし」の代名詞的メニュー。足立市場に行くからには一度はチャレンジしたいものだ。

 今も「築地」の風情が残る魚河岸で、新鮮な魚介をふんだんに使った朝ごはんを楽しむ――。こんな贅沢、今では足立市場でしか味わえない。

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午前5時30分。競りの開始を告げるブザーが鳴り、マグロの競りが始まった。始めに生マグロ、続いて冷凍マグロが競りにかけられていく。

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