ほうれん草のおひたしやノンオイルドレッシングが栄養学的に“間違っている”理由

「gettyimages」より

 食材の持つ栄養素の特徴を知っておくと、栄養素の組み合わせによっては、食材の持つパワーが足し算どころか掛け算になることがわかります。それは、私たち「栄養士だけが知る、魔法の食べ合わせ」と言ってもいいかもしれません。

 ただし、いくら体に良いと言われる食材を食べても、腸がしっかり機能していないと大事な栄養素を吸収することができません。ビタミンC、β-カロテン(ビタミンA)、ビタミンB群、リコピン、ポリフェノールなど、食べ物に気を配って栄養価の高い食材を摂り、正しい食べ合わせを実践する前の段階として、まずは腸内環境を整えておく必要があるのです。

 腸の吸収能力は、加齢によって下がってきます。それは病気ではなくて老化。歯がもろくなったり、筋力が落ちてきたり、臓器が弱くなったりするのは、私たちが生きている以上、自然なことであり、ある程度は仕方がないことでもあります。栄養素をできるだけ効率良く吸収したいと思うなら、体に良い食べ合わせを実践する前に、次に挙げる食材や料理を積極的に食べましょう。

 腸内環境を整えるための食材として、腸内の善玉菌のエサになる水溶性の食物繊維を摂ってください。大麦やもち麦、押麦、ゴボウ、アボカド、海藻類、ドライフルーツなどです。茹で麦入りヨーグルト、ヨーグルト味噌漬けゴボウ、アボカドサラダ、ワカメキムチなどをおすすめします。

 いつまでも健康であり続け、「未病」のまま健康寿命を延ばすにはどうすればいいか。そんなテーマを、「食べ合わせ」に焦点を当てながら解説しているのが、池袋大谷クリニック院長・大谷義夫先生との共著『疲れ知らずで病気にならない 名医が教える科学的に正しい食べ合わせ』(KADOKAWA)です。本書の中から、その一例をご紹介します。

ほうれん草の“おひたし”が残念な理由

 ほうれん草のおひたしは誰が考えても体に良さそうな食べ物ですが、これほどほうれん草の栄養素を無駄にする食べ方はありません。ほうれん草は「緑黄色野菜の王様」「葉物野菜の王様」と呼べるほど、栄養素が豊富な野菜です。ビタミンC、β-カロテンに加えて、鉄やマグネシウム、亜鉛などのミネラルも豊富です。

『疲れ知らずで病気にならない 名医が教える科学的に正しい食べ合わせ』(KADOKAWA/大谷義夫、赤石定典)

 では、おひたしの何がいけないかというと……茹でてはいけないのです! ほうれん草はビタミンCが豊富ですが、ビタミンCは水に溶けやすいビタミン(水溶性ビタミン)です。

 そのため。茹でてしまうと茹で汁の中に溶け出してしまうのです。また、ビタミンAは油に溶けやすいビタミン(脂溶性ビタミン)なので、油と一緒に摂らないと吸収率が10%にも届きません。

「栄養を摂る」という見地からだけで言うと、ほうれん草の食べ方としては一番間違っています。では、ほうれん草の栄養素を逃さず摂取するためには、どうすればいいのでしょうか。

 答えは簡単。蒸すか、電子レンジでチンするか、油で炒めるのがいいわけです。ただし、熱に弱いビタミンCは炒めるとロスしてしまいます。また、シュウ酸が気になり茹でる場合でも、1分程度にしてください。

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