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セルフプロデュースで会社設立のギャルモデルが目指す地平【後編】

18歳ギャルモデル伊藤桃々の冷徹なるビジネス戦略…インスタの映え力はテレビ広告と等価

取材・構成=有馬ゆえ
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伊藤桃々(いとう・もも)
2000年12月16日、静岡県生まれ。2018年、ウェブ版「egg」のモデルとしてデビュー。若年層に大人気のリアリティ恋愛番組『太陽とオオカミくんには騙されない』(AbemaTV)シーズン4に出演。Instagramフォロワー約35万、TikTokのフォロワー約44万を誇る。趣味はメイク、アニメ。中学校時の部活はバスケ部。

 伊藤桃々(もも)は、今もっとも勢いのある18歳の“白ギャルモデル”だ。2018年、“復刊”が話題となったギャル雑誌「egg」ウェブ版でデビュー。2019年5月に正式復活した雑誌版「egg」(MRA)ではいきなり表紙を飾り、恋愛リアリティ番組『太陽とオオカミくんには騙されない』(AbemaTV)で全国のJKから支持される存在に。最近はテレビのバラエティ番組に出演したり、青年誌のグラビアで表紙を飾ったりと、青年誌のグラビアで表紙を飾ったりと、さらに活躍の幅を拡大しているのだ。

 2019年9月には、オリジナルコスメブランド「More..Mi by momo」をスタート。【前編】では、18歳とは思えない決断力やリサーチ力で、大人と対等にやり合いながら、その第1弾商品「シャイニーリップグロス」がどのように完成にいたったかを語ってくれた。

 若い女性タレントらしく、彼女もまたSNSで多くのフォロワーを抱えている。インスタグラムなら約35万人、Twitterならば約19万人、TikTokならば約44万人。「More..Mi by momo」の知名度を上げるために、彼女はこうしたSNSを縦横に活用している。後編では、その主戦場となっているインスタグラムにおける、綿密に計算されたPR戦略を聞いてみよう。

【前編】はこちら

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「More..Mi by momo」の「Mi」は伊藤桃々のイニシャルと「me」のダブルミーニング。「今以上にもっとかわいく」という意味が込められているという。

みずからのファンを、PRの“サポーター”に変身させる

2019年9月に発売された「More..Mi by momo」の第一弾商品「シャイニーリップグロス」について、伊藤は「見るたびかわいいなと思います。“映え”(ばえ)てくれるんですよ」と笑う。“映え”とは、「インスタ(Instagram)映え」「SNS映え」からの派生語で、「写真に撮ってSNSにアップしたときに映える」ことを指す。

多くのインフルエンサーが証明する通り、若者の消費行動にアプローチしたいなら、SNSでのPRは欠かせない。もともとSNSの運用に戦略的だった彼女は、そうしたことをも肌で学んでいたようだ。

「グロスの発売当初はネット販売だけだったので、そもそもインスタしかプロモーション手段がなかったんですよ。誰も知らないブランド、商品だし、1回宣伝しただけじゃ頭に入ってこないから、とにかく自分でどんどん発信して。あとは有名なモデルさんにSNSで宣伝してもらったり」

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伊藤桃々Instagram(@ __peachstagram__)

 投稿するのはインスタのタイムラインではなく、「ストーリーズ」という機能だ。Instagramではタイムラインの投稿一つひとつにリンクをつけることはできない。一方、24時間限定で画像または15秒以内の動画がアップできる「ストーリーズ」には、固有のURLへリンクを貼ることができるのだ。

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過去にInstagramのストーリーズに投稿された写真。伊藤桃々Instagram(@ __peachstagram__)より

「まずやったのは、ストーリー(ストーリーズの通称)でリップが目立つような自撮りを上げること。商品写真を載せてそれぞれの商品ページにリンクを張るだけじゃなくて、『こういうメイクにはこの色がいい』とか、『やっぱり秋はこの色を使いたくなる』とか、バリエーションをつけて何回も何回もしつこく上げました。今もやってます」

「シャイニーリップグロス」の商品ラインナップは、シャイニークリア、ジューシーオレンジ、マニッシュピンク、ボルドリーレッドの全4色。メイクに憧れるファンも多いため、メイクの雰囲気やシチュエーションごとに色を提案すると、10個、20個とネットでの販売につながるのだという。

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発売と同時に「More..Mi by momo」のInstagramアカウント(@moremi_official)も開設した。自身のアカウントとすみ分けをしているため、こちらで使用する写真はプロが撮影したもののみ。伊藤のスマホで撮影した自撮りなどはアップされない。

 また、ファンが伊藤自身、あるいは「More..Mi by momo」のハッシュタグをつけて投稿した写真やストーリーズもチェックしている。

「それ自体、私を知らないその子のリア友(リアルな友だち)が見たら『伊藤桃々ちゃんってリップ作ったんだ、へー』みたいな宣伝になりますよね。それを増やすために、タグ(ハッシュタグ)つけてくれた子の投稿には全部『いいね』してます」

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自身のハッシュタグがついたファンの投稿には「いいね」を押しにいく。

 Instagramでは、他人の投稿を再投稿したり、自分のストーリーズに投稿したりすることもできる。そのため、「“映え”て撮ってくれた子の投稿」はストーリーズに転載もするという。

「ファンの子がタグつけてくれたストーリーも全部見るようにしていて。ストーリーは見に行くと足跡がつくから、そうすると『桃々ちゃん見てくれた うれしい』って投稿してくれたり、またストーリーに上げてくれたりするんですよ」

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伊藤のハッシュタグをつけて投稿されたファンのストーリーズに、コメントをつけて自身のストーリーズに転載することも。

 投稿してくれたファンに感謝するとともに、モチベーションを上げてさらなるPRにつなげる。さながらウェブマーケターのようなSNS戦略だ。暇さえあればInstagramをチェックしているという伊藤は話す。

「私の知名度も上がるしリップも売れるし、いいことしかなさすぎて。インスタをいじればいじるほど、いいことが起きる(笑)」

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2019年10月に発売された雑誌「egg」復刊第2号。写真後列中央が伊藤桃々。

SNSでテレビ広告並みの波及力をゲット

 ドン・キホーテや一部店舗を除くPLAZAなど74店舗まで販売網が拡大し、実店舗での売り上げも上々だというが、伊藤はとにかく写真の“映え”にこだわっている。10月末には、リリース時に撮影した写真の撮り直しをしたそうだ。

「“映え”る写真専門の“インスタ師”の方に、公式アカウント用に商品写真と、リップをつけた自分の写真を撮ってもらいました」

 たとえば、以前は商品の使用写真に自身の唇を使っていたが、「自分の唇は単体で魅力的な形ではないから」と変更を希望。同じ事務所に所属しているモデルのファイルをもらって、その中から理想の唇を選び、撮影に来てもらったという。

「自分の写真は、リップをつけて自分の顔がかわいく撮れている写真。パッと見たときに『この色はこんな感じなんだ』ってわかるように、4色分、メイクも服装もパターンを変えて撮りました」

 商品自体がかわいく“映え”ないと広まらない。自分自身を離れて商品自体が知名度を上げるためにも、“映え”は必須なのだ。

「“映え”てるか“映え”てないかで、売れる数って絶対変わると思うんですよ。もう写真は“映え”るのが常識になってると思う。有名な女優さんを使ってテレビのゴールデンタイムにCMを打たなくても、SNSで“映え”るなら有名ブランドみたいに全然なれるんです」

「仕事でやってるんで」

 彼女のこうした話を聞いていると、さぞかし昔からよくSNSを使っていたのだろうと思わされるが、意外にも彼女は2017年のデビューまでは、SNSにはさしたる興味もなかったそうだ。

「一般人の時は、“映え”もおしゃれも興味なかったんですよ。メイクは好きだったけど、『色つけばいいっしょ』くらいの感じ。SNSやおしゃれを研究し始めたのはモデルになってから。趣味でやってないです、別に。お仕事。仕事になるとやる気出るんですよね」

 現在、彼女のInstagramのフォロワーは約35万人。【前回の取材時(2019年5月)】からだけでも、およそ5万人増えている。その事実についても「今、ファン以外の人が見る番組や雑誌に出ることがないので、伸びるのが難しい時期なんですよ。けど、ゆっくりでも伸びているので、全然いいかなって」と冷静に分析してみせる。

 自身のアカウントに対する視線を見ても、客観性がとても高いことに驚かされる。たとえば彼女は、1日1回はサブアカウントから自身のアカウントを見て、他人の目にどう映るかを確認しているという。

「同じアカウントでも、自分からの見え方と他人からの見え方が違うんで。自分がやっていることが第三者にどう見えているかって、普段はわからないじゃないですか。自分のアカウントから投稿した後にサブアカから見てみて、『こう映ってるならいい感じだな』と思ったり」

 そもそも投稿したい写真があるときは、画像加工アプリを使い、自分のアカウントのスクリーンショットに新しい写真が加わった様子を確認し、投稿後のイメージをつかむのだそうだ。また、「More..Mi by momo」を紹介したストーリーズの投稿は、リンク先を開いたユーザー数、販売まで進んだユーザー数、その販売実績のレポートと照らし合わせ、傾向と対策を練っているという。

 強気で冷静な戦略家、伊藤桃々。18歳のこのギャルモデルは、自身のブランドをどこまで大きく成長させられるのか。“MoMo”が“Coco” のように世界に愛される未来を夢見させるほどのバイタリティーが、彼女にはある。
(取材・構成=有馬ゆえ)

有馬ゆえ

有馬ゆえ

2007年からライター、編集者としてメディアや広告のコンテンツ制作に携わる。「ハフポスト日本版」「NewsPicks」「朝日新聞EduA」などでWEBメディアにて執筆中。

Twitter:@yuearima

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