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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

糖質制限ダイエットと人工甘味料で、わざわざ自分の体を壊す“悪魔のサイクル”

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
糖質制限ダイエットと人工甘味料で、わざわざ自分の体を壊す“悪魔のサイクル”の画像1
「Getty Images」より

 正しいと信じて糖質制限ダイエットに取り組んでいる方々に、無理矢理やめろという気はありません。自分の責任でやっているのだから、最後までその責任をまっとうすればいいと思っております。何を信じるかということは、自分勝手にすればいいことです。他人に迷惑をかけない限りは。

 ただ、本連載前回記事で書いたように、糖質制限ダイエットにはネガティブな側面もある、ということは承知しておいていただきたいと思うと同時に、あえて老婆心ながら申し上げておきたいことがあります。これは、糖質制限ダイエットをやる、やらないにかかわらず、うっかりすると多くの方々が見落としてしまい、健康であることを願いながら、不健康への道をまっしぐらに進むことにもなりかねないので、書いておこうと思いました。

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 ひとつは、中鎖脂肪酸の摂取に関してです。中鎖脂肪酸はMCTオイルとも呼ばれ、エネルギーに変換しやすいという理由で、糖質制限ダイエットに取り組んでいる方が積極的に摂取されています。糖質制限ダイエットは、炭水化物の摂取を少なくして糖質(ブドウ糖)が血液中に入らないことを基本としているので、どうしてもエネルギー不足になりがちです。そこで、それを補うために糖質ではなく、エネルギーになりやすいといわれている中鎖脂肪酸を摂る、という考え方です。

 そもそも、なぜそんな面倒な、回りくどい食べ方をしなければならないのか、筆者にはわかりかねますが、そのような食べ方が推奨されているようです。

 オイルのテレビCMに起用されているタレントやアスリートは、あくまでもイメージ戦略として使われているのですから、見る側はその点をきちんと理解しなくてはいけません。CMを見て、糖質制限ダイエットに取り組んでいるわけではないが、なんとなく良さそうだから摂ってみようと考える方もいるのではないでしょうか。中鎖脂肪酸を摂ることに反対はしませんが、中鎖脂肪酸を摂っているからほかのオイルは摂らなくても大丈夫ということにはならないので、その点はご理解ください。

 これは、この連載の中でも繰り返し述べてきましたが、体内に摂取されたオイルの役割は多岐にわたっています。まずは細胞膜を構成する成分になること。そしてエイコサノイドと呼ばれる体内調整物質の原材料となることも、重要な役割です。しかし、中鎖脂肪酸はこの2つの役割を果たすことはできません。よって、中鎖脂肪酸をたっぷり摂っているから、またほかのオイルは中鎖脂肪酸よりエネルギーになりにくいから、という理由で、ほかのオイルを摂らないというのは誤った選択です。

 細胞膜、およびエイコサノイドの原材料となるのは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸です。どんな食事をしようとその人の勝手ですが、健康でいたいと思うなら、この2つの脂肪酸は必ず摂取しなければなりません。これらは私たちの体内ではつくり出すことができないので“必須脂肪酸”と呼ばれ、欠落すると死に至ります。

 中鎖脂肪酸を摂らなくても健康を害することはありませんが、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、そうはいかないのです。一部には、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は酸化しやすいので摂らないほうがいい、などと言う人がいるようですが、それは栄養学の基本がわかっていない人の見解です。酸化しやすいのは事実ですが、必須栄養素のひとつですから、摂らなければ健康を守れないどころか死を招きます。

 食生活の上では、野菜類をたっぷり摂り、そこに含まれている植物栄養素(ファイトニュートリエント)を積極的に摂取することで、抗酸化作用によって酸化を防ぐという考え方をとっていただきたいと思います。

脳障害を引き起こす恐れのあるアスパルテーム

 そしてもう一点、お気づきいただきたいことがあります。糖質制限ダイエットに取り組んでいる方にとっては“ブドウ糖は敵”なので絶対に摂らないようにしようと、人工甘味料を使った飲料などを積極的に飲んでいる方がいるようですが、これはそうとう危険だということを知っていただきたいのです。

 人工甘味料には、アスパルテーム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)など多数ありますが、いずれも私たちの体にとって有害でこそあれ、有益なものはひとつもありません。

 とりわけアスパルテームは大変毒性の強いものなので、摂らないほうがよいと筆者は警告したいところです。アスパルテームはもともと、アメリカの製薬会社が胃潰瘍の薬を開発している途上で偶然発見されたことが発端となって、その後製品化され、甘味料として使われるようになったのですが、大量生産しているのは化学調味料を製造している企業で、カフェやホテルのティールームにも、よく置かれています。

 アスパルテームは健康に良いと思って砂糖代わりに使っているという方がいるようですが、即刻やめるべきでしょう。この人工甘味料は、腸内菌叢に変化をもたらし、体重の増加、およびグルコース不耐症を起こし、ひいては糖尿病に近づく可能性があります。肥満解消のために「カロリーゼロ」と書いてある人工甘味料を積極的に使っている、という方などは逆効果になることもあり得ますので、注意が必要でしょう。砂糖をやめて人工甘味料にしたから痩せるだろう、などと安易に考えてはいけません。肥満には、もっと根本的な問題が潜んでいます。それは甘えや依存という心の問題であり、また同時に食生活全般の問題もあります。自分のこれまでの食事の内容を見直し、自分がどう生きたいのか、どういう人間になりたいのかということを考え、問い直すところから始めるべきでしょう。

 加えてアスパルテームは、脳障害をもたらす可能性もあると指摘されてもいます。製造企業などから資金的援助を受けずに独立した研究をしている機関の94%が、アスパルテームは、うつ病や頭痛などの有害作用を引き起こすことを伝えています。

 アスパルテームは、化学的にはアスパラギン酸とフェニルアラニンから構成されていますが、フェニルアラニンに含まれるメチル基が分解されてメタノールを形成します。これが体内で、有害物質であるホルムアルデヒドに変換されますが、人体ではこれを無害化できないため、このホルムアルデヒドが網膜損傷を引き起こすのです。最悪のケースとしては失明することもあり得ます。メーカーは当然のことながら、「微量であるから健康に影響はない」と言います。しかし、それは長年にわたっての使用で得られたデータではありません。したがって、いつの日か、その安全性が覆ることも視野に入れなければならないと、筆者は考えます。

 またアスパルテームは、DNAの複製を妨げることも考えられ、先天性欠損症を引き起こす可能性を指摘されてもいます。アスパルテームはまた、発がん物質であるともいわれているので、摂らないに越したことはないと思います。

スクラロースも発がん性の恐れ

 また、スクラロース(スプレンダと呼ぶ場合もある)もよく使われる人工甘味料ですが、これは人体では分解されず、そのまま排出されるので無害だとメーカー側は主張してきました。しかし最近になって、研究が進み、スクラロースが体内で代謝され、脂肪細胞に蓄積することがわかったのです。ラットを使った実験では、肝臓に明らかな変性が見られ、毒性の影響があることが確認されています。スクラロースは腸内細菌を 50%減らすこともわかっており、腸内 pH を上げてしまうことで、腸内菌叢を不健康的な状態に向かわせます。食欲調節機能に支障をきたし、結果的に体重を増加させることにもつながっていきます。

 スクラロースは安価に入手できるため、惣菜などの甘み付けにも使われることが多いのですが、実はスクラロースは高温になると有害物質であるクロロプロパノールを生成することも指摘されています。クロロプロパノールは塩素化合物の一種ですが、アスパルテームからも検出され、発がん性があるともいわれています。無害だと主張する科学者もいるようですが、私たちがわざわざ危険性が疑われているものを摂る必要もないだろうと筆者は考えています。

 アスパルテーム、スクラロースなどの人工甘味料と呼ばれる物質は、さまざまなかたちで人体に悪影響を及ぼします。慢性炎症を助長し、免疫力を低下させます。がんや白血病との関連も疑われています。有名な水泳の選手が今、白血病と闘っていますが、まずは一日も早く健康を取り戻し、完全復帰を果たしていただきたいと願うばかりですが、同時に復帰後は人工甘味料などを口にしないでいただきたいと強く願う次第です。

 もちろん、これを読んでくださっている読者の方々も、人工甘味料入りの飲料や、惣菜などに手を出さないようにしていただきたいと思います。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

『大切な人に食べさせたくないもの、食べてほしくないもの』 日本の危ない食事情に警鐘を鳴らし続けてきた著者が、日々の食生活から遠ざけたい食材、メニューを、その恐ろしい理由と共に指摘します。 amazon_associate_logo.jpg

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