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田中圭太郎「現場からの視点」

桜美林大学、文科省が禁止する“授業外注化”強行…解雇恐れる講師との団体交渉を拒否

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
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 筆者は桜美林大学に取材し、2つの組合が労働委員会に救済を申し立てたことをどのように受け止めているのか聞いた。広報担当者は「団交を拒否しているわけではない」と説明する。

「首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉については、慣例の通り、組合のしかるべき代表者と、学園のしかるべき担当者との間で、落ち着いた状態で話し合いたいと考えています。また東京ゼネラルユニオンについては、ルールが定まっていない中では交渉はできませんとお伝えしています。ルールが整えば、団体交渉をさせていただきたいと考えています」

 大学側は団交に参加する人数やルールなどを理由にして、団交に応じない姿勢をいまのところ崩していない。しかし、本質的な問題は、団交の開催ではなく、外注化による非常勤講師の雇用への影響を説明していないことと、外注化が果たして適切なのかどうかということではないだろうか。

 文部科学省は英語の授業の外注化が認められる例として「英語の授業全体を専任教員が進行しつつ、コミュニケーション部分を外部講師に担当させる」ことを想定している。全面的な外注化は認めていないのだ。この点についても大学側からの説明はない。首都圏大学非常勤講師組合の志田昇委員長は、桜美林大学でこのまま外注化が強行された場合、他の大学でも一気に外注化が進む恐れがあると警鐘を鳴らす。

「外注化は桜美林大学だけの問題ではありません。人件費を抑制するため、日本中のかなりの大学ができることなら英語の授業を外注化したいと考えているはずです。大学の教育が、営利企業にバラ売りされようとしているのです。

 これは延期が決まった大学入学共通テストの英語民間試験と同じ構図ともいえます。外部の営利企業に授業や試験を丸投げしようとする大きな流れがあるのは間違いありません。国や大学が責任を持って教育をすべきだということも、改めて訴えていく必要があると考えています」

 桜美林大学が団交に応じるのか、団交に関係なく外注化について説明をするのかは現時点では不明だ。来年度の契約について話し合う時期が近づくなか、非常勤講師の大量解雇という事態に発展するのかどうか、注視する必要がある。

(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)

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