黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

台風による自宅の損害、確実に補償を受けるための火災保険選び&保険請求時の注意点

「Getty Images」より

 振り返ってみると「平成」は、地震や台風、噴火などの大規模な自然災害が相次いだ30年間だった。そして年号が「令和」に変わっても状況は変わらないようだ。

 9月の台風15号の復旧作業が完了する前に、10月上旬に台風19号が関東地方を直撃。死者93名、重軽傷を含めた負傷者468名(内閣府による。消防庁情報11月3日時点)といった人的被害や家屋の全壊・浸水などの被害が報じられ、11月に入っても復旧作業は続いている。

 大規模自然災害は、異常気象とも言われ、「想定外」といった表現が多用されるが、今や「想定外」が当たり前の想定内として備える時代に突入しているのかもしれない。

大規模災害に対する国などの支援は?

 大規模自然災害が起きると、FPとして気になるのは、やはり被災された方々の今後の生活再建である。その基盤となるのが「住まい」だろう。住宅ローンがまだ残っている状態で、自宅に住めないとなると、ローン返済に加えて、新しい住まいの費用を捻出せねばならず、家計への影響は計り知れない。

 まず知っておきたいのは、国からの住宅再建支援策である。おもに「被災者生活再建支援法」と「災害救助法」に基づく制度の2つがある。前者は、災害によって住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して最大300万円の支援金が支給される。後者は、災害救助法が適用された市区町村に対して、住宅の応急修理について、自力で修理する資力のない世帯に対する必要最小限度の部分(居室、台所、トイレ等)の修理費用を負担する制度だ。修理限度額は1世帯当たり57.4万円(平成29年度基準)となっている。

 ただし、現行制度は「半壊」や「大規模半壊」に限定されている。今回の9月、10月の台風被害で、屋根が吹き飛ばされる被害が相次いだことを受け、国は、被害認定の損害割合が10%以上の一部損壊住宅に関しても、恒久的な支援制度を設けるという。また、自治体によっては、住宅被害を受けた世帯等に対して独自に支援金等を支給する制度を設けている場合もあるので要確認だ。

 内閣府の発表では、全国で14 都県390市区町村に災害救助法の適用を決定した(2019年11月1日時点)。これは、10都県241市区町村が対象になった東日本大震災を大きく上回り、今回の台風による住宅や生活への深刻な被害が広範囲にわたっていることを示している。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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