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小早川隆治「日本のクルマづくり~さらなる志・凛・艶・昂を目指して~」

今年の東京モーターショーに感じた疑問と5つの提案…キッザニアとのコラボは成功か

文=小早川隆治/モータージャーナリスト
今年の東京モーターショーに感じた疑問と5つの提案…キッザニアとのコラボは成功かの画像1
東京モーターショー2019でのトヨタ自動車の豊田章男社長(写真:アフロ)

 今回が第46回となる東京モーターショー(以下、TMS)は、ビッグサイト、メガウェブ&青海エリア、それをつなぐ1.5kmのプロムナードを活用した分散した会場で開催された。入場者は1991年に200万人を突破するが、その後次第に減少、前回は77万人となった。今、クルマ社会は大きな転換期を迎えつつあり、TMSの主催団体である日本自動車工業会(自工会)の危機意識も強く、今回のTMSは大きな変革を模索したものとなった。

 以下は、自工会会長・豊田章男氏のメッセージのエッセンスだ。

「TMSは大きな変革期を迎えている。従来と同じ展示会ではなく、新しいチャレンジ、新たな表現のモーターショーにしてゆくことが大切だ。お台場のビッグサイトだけではなく、お台場周辺、全体をショーの場として、多くの来場者が楽しんでもらえ、また体験してもらえるTMSにすべくつくりあげたい。目標は100万人」

 以下の図が、今回の会場マップだ。

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 TMS終了後の自工会の発表によると、今回の入場者数は、有料、無料ゾーン合算で130万900人になったとのこと。今回のショーは、それなりの成果を上げたと言っていいだろう。ただし、無料ゾーンの入場者には入場料を払った人たちもカウントされるため、有料ゾーンの入場者数も発表すべきだと思う。以下のように、ショーの中身に関する私のコメントは後述するオピニオンリーダー同様、厳しいものとならざるを得ない。

TMSの短評と今後の提案

 以下は、私の「ゾーンごとの短評」と「今後のTMSへ向けての提案」だ。

<FUTURE EXPO>

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 展示内容が出展社任せのためか、全体として何を言いたいのかがはっきりしなかった。また、展示物の説明ボード、パンフレットなどもほとんどなく、説明も限定される上に、なぜか画像の音声が聞き取れないところが多かった。

<AOMI exhibition>

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 スバル、ダイハツの展示、プレゼンはそれなりのものだったが、トヨタのブースにはデビューを果たしたばかりの「ヤリス」や新型「カローラ」などを含む市販モデルの展示はまったくなく、未来の移動道具と街並みの画像の理解に苦しんだ。

<キッザニアとのコラボ>

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 一方、キッザニアとのコラボレーションによる「子どもたちが働く街」では子どもたちが目を輝かせており、大変素晴らしかった。メーカー各社の協力にも拍手したい。隣のトミカのブースも大変多くの人たちをひきつけていたが、有料ゾーンだったのがちょっと残念だ。

<OPEN ROADとDRIVE PARK>

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 展示のテーマがばらばらだったことは、なんとも残念だ。また、電動キックボードや次世代小型モビリティーなどの試乗はいいが、待ち時間が長すぎ、試乗できる人はほんのわずかだった。同じことは、DRIVE PARKの同乗試乗にも言える。

<ARIAKE exhibition>

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 マツダ「MX-30」、日産の「ARIYAコンセプト」と軽EV、ホンダ「フィット」などは2019 TMSの存在感に貢献したモデルと言えるだろう。ただし、南館、西館の上階の部品メーカーのブースの来場者などが期待通りになったかは知りたいところだ。

 TMSは「クルマ文化の定着と拡大」「若年層のクルマ離れへの対応」「自動車産業の発展」などにとって貴重なイベントであり、今回の反省も踏まえながら、日本メーカー各社が潤沢な資金を出し合い、世界に誇れるイベントとして育成してゆくべきだ。以下は、それらを踏まえた私のささやかな提案だ。

小早川隆治/モータージャーナリスト

小早川隆治/モータージャーナリスト

1941年生まれ。学習院大学卒業後、東洋工業(現マツダ)に入社。RX-7&モータースポーツ担当主査、北米マツダ副社長などを務める。退職後、モータージャーナリストとして活動。日本自動車研究者ジャーナリスト会議監事。

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