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バスで乗りつけた大勢のインバウンド、住民の生活圏で大騒ぎ…京都、日本人観光客離れ

文=山田稔/ジャーナリスト
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増え続ける外国人観光客(福岡市)

 10月下旬、世界的なリゾート地・ニセコがある北海道倶知安町で20カ国・地域(G20)観光大臣会合が開かれ、「観光公害」(オーバーツーリズム)の克服に向けた共同宣言が採択された。観光公害は旅行者急増に伴う地域住民とのトラブルや自然破壊、交通渋滞などを指す。この数年、世界各地で大きな社会問題となっている。

 G20の共同宣言は「訪問者、地域社会の双方に恩恵のある観光マネジメントを進める」という抽象的な理念。議長を務めた赤羽一嘉国土交通相は記者会見で「観光客と住民のあつれき、環境保護をどうするか検討しなければいけない」と述べるにとどまった。

 年間3000万人以上の訪日外国人旅行者が日本各地を観光する状況のなかで、旅行者が満足し、地域が潤い、住民が喜ぶ。そういう三方良しとなればいいのだが、現実はかなり難しい。

 筆者がかつて九州の有名温泉地を訪れたときのことだ。海に面した開放的な足湯で寛いでいると、観光バスから降り立ったアジア系の30人ほどの団体客がなだれ込んできた。5、6人いた日本人客は彼らに場所を譲り、片隅に。にぎやかに歓談していた団体客は、そのうち大声で歌いはじめ、いつまでも終わらない。寛ぎの時間と空間が、喧騒に呑み込まれてしまった。彼らが去った後、近くの観光業者に話を聞くと、憤懣やるかたない様子でこう語った。

「いつもあんな調子だね。観光バスで乗りつけて20分ほど足湯に浸かって大騒ぎ。土産物店に寄っても冷やかしで、さっさとバスに逆戻りだよ。それでいて添乗員は店にバックマージンを持ちかけてくるんだから話にならない。地元は何ひとつ潤ってないよ」

 大型クルーズ船が寄港する街でも、観光客が立ち寄るのは免税店だけで、ほかの商店や飲食店には目もくれないといった話を聞いたことがある。これではなんのためのインバウンド誘致なのかわからない。

外国人の交通事故激増

 国土交通省が昨年まとめた「持続可能な観光政策のあり方に関する調査研究」(概要)には、新聞記事などから抽出した以下のような観光公害の事例が、多数紹介されている。

・「丘の町」マナーに悩む、私有地に観光客(北海道美瑛町)

・島民の生活エリアや静かな憩いの場に観光客が入ることによる島民の不快感(鹿児島県屋久島)

・訪日外国人客の交通事故激増 信号無視で日本人死亡事故も(北海道・沖縄)

・ラーメン一杯2000円 外国人だらけ、日本人にもパスポート要求 (北海道ニセコ町)

・中国人も欧米人もこぞって古都“花見狂騒曲” 夜桜ライトアップ中止に(京都)

・「お通し」って何? 外国人客のトラブル増(沖縄)

・富士山入山料や弾丸登山自粛、外国人6割「知らない」ルール浸透せず(静岡、山梨)

・「受験生に宿を」 観光庁、旅行業者に初要請 春節“爆宿”で施設不足懸念(全国)

・有名温泉地、中国資本に呑み込まれ中国人だらけ? 高級外資系殺到の異常事態(北海道)

・観光バスが足りない 中古バス価格上昇、運転手も手薄(全国)

・中国人観光客の増加が重荷に 静岡空港、年間搭乗者数過去最多なのに赤字幅拡大(静岡)

・訪日外国人患者の「医療費踏み倒し」で病院ピンチ(全国)

・タワマンで民泊中国人がドンチャン騒ぎ 翌日はゴミだらけ(東京)

・農地転用の駐車場や自販機、派手な景観の土産物屋、レストランが急増(岐阜県白川村)

・関空悲鳴! 外国人観光客急増で入国審査が追いつかない(関西国際空港)

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