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iPhone、“ダサくなった”背景に有力デザイナー大量退社か…アップルの岐路

文=A4studio
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 だからこそ近年のアップルは、スポーツ用品大手である『NIKE』のような異業種からの転入者をも呼び込んで世代交代を図り、組織に新たなダイナミズムをもたらそうとしているのではないでしょうか」(井上氏)

 アイブたちデザイナー陣の退社はアップルの求心力の低下を示すのではなく、経営陣にとっても想定内であり、克服するべき課題だということか。

 そして井上氏は、「アップルは産みの苦しみを味わっている最中なのでしょう」と指摘した。

「これはアップルに限らず、グーグルやマイクロソフトにも当てはまる話だと思うのですが、『iPhone』をはじめとする今のスマートフォンは、ウェアラブル端末という次のステージになかなか進めないがために、仕方なくアップデートを繰り返している“おためごかしの残骸”でしかありません。新製品を開発しても、それはユーザーのためではなく、あくまでも会社の利益のためにしかなっていないということです。

 最近は中韓メーカーが画面の曲がるスマートフォンなどを発売していますが、それも所詮は『iPhone』の形態から派生したもの。製品の見た目のみならず、コンセプトからユーザーインターフェースに至るまでアップルのマネだけをしてきた中韓メーカーには、本質的に新しい製品なんてまだまだ開発できるはずがないでしょう」(同)

やがて“デザイン”の力が、技術の限界を乗り越えていく?

 熱心なファンにとっては、アップル製品を携帯することがファッションの一部になっているだろうし、冒頭で触れた「iPhone 11(Pro)」の例のように、デザインをめぐって大きな反響が巻き起こるのは自然だろう。

 だが井上氏は、デザインというもののあり方について問題提起する。

「スマートフォンのような通信端末は、もはや政治や経済といった生活のあらゆる場面に入り込んでいます。許容範囲内での遅延や不具合はあったとしても、基本的には24時間365日必ず繋がっていなければ意味がないものです。

 通信端末が本当に重要な社会インフラであるなら、世間で話題になるのは致命的な支障が発生したときだけでよく、そのデザインにあれこれと口を出すのは、本来おかしい話だといえるのではないでしょうか。水道の蛇口や電気のコンセントに、人はいちいちワクワク・ドキドキなんてしませんよね」(同)

 とはいえ将来的には、通信端末の軽量化や熱処理といった諸問題を、技術だけでなく、デザインの力によってカバーしなければならないケースも出てきそうだ。

 アップルを独立したアイブは「LoveFrom」というデザイン会社を設立し、その顧客第1号はアップルになるともいわれている。世代交代の進むアップルと、長年アップルを支えてきたデザイナーOBたちの関係はどうなっていくのか。やがてウェアラブル端末が主流になった未来で、アップルはどのような立ち位置にいるのか。今までアップルやアイブが打ち出してきたデザインの真価が問われるのは、これからなのかもしれない。

(文=A4studio)

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