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片山修「ずだぶくろ経営論」

マツダ、最強のEV開発…秘策はロータリーエンジン技術、航続距離を劇的に伸長

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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航続距離との戦い

 振り返ってみれば、これまでEVの開発は、航続距離との戦いといっても過言ではなかった。

「日本で走るのであれば、まったく問題ありません」

 前日産社長の西川広人氏は、17年9月に開かれた新型「リーフ」の発表会の席上、そのように新型「リーフ」の航続距離に胸を張ってみせた。新型「リーフ」が1回の充電で走れる航続距離は、400キロメートル。初代「リーフ」の倍になった。

 一見、航続距離が長くなれば、消費者にとってメリットがあるように思えるが、それはEVの落とし穴でもある。というのも、バッテリー容量と航続距離は、二律背反の関係性にあるからだ。

 第一、EVで航続距離を伸ばすには、バッテリーの容量を大きくしなければならない。その分、車両価格は高くなる。しかも、バッテリーを大量に積めば、バッテリー製造時の環境負荷が増える。電極の乾燥工程やバッテリー製造工場をクリーン状態にするには、大量の電気が必要とされるからだ。

マツダは、航続距離を伸ばすためにバッテリー容量を大きくすることは考えなかった」

 10月24日に開かれた電動化方針の説明会で、マツダ執行役員でR&D管理と商品戦略を担当する工藤秀俊氏は、そう述べた。だから、マツダの「MX‐30」のフル充電での航続距離は、約200キロにとどまる。東京モーターショーのプレスブリーフィングで社長の丸本明氏が「バッテリーEVは選択肢の一つ」と述べたように、マツダは「MX‐30」をマルチソリューションの一つとして出したとする。

 マツダは、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含めると、内燃機関を搭載するクルマは、2035年においても全体の84%を占めると試算する。したがって、CO2総排出量の削減には内燃機関の効率改善が有効だという姿勢を崩さない。 

 内燃機関が効率のカギを握るからには、ベース技術を徹底的に改善する必要がある。マツダは、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャーシなどのベース技術を徹底的に磨いたうえで、電子デバイス(アイドリングストップシステム、減速エネルギー回生システム、ハイブリッドシステムなど)もベース技術として組み合わせる「ビルディングブロック」戦略を進める。

 ガソリンエンジンの改善にも力を注ぐ。もっか力を入れているのは、高効率ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」だ。ガソリンエンジンの火炎伝播とディーゼルエンジンの圧縮着火の2つの特徴を融合した新しいエンジンである。「SKYACTIV-X」搭載の「マツダ3」は、19年12月中旬に発売予定だ。

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