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織田信成、モラハラ提訴にスケート界で疑問広まる…浜田コーチの加害行為に具体性乏しく 

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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 訴状は、今年になってスケート部員の学業成績が悪いことから、織田氏は授業のある昼間の練習を夜や早朝に変えるように浜田コーチに訴えたことを挙げる。これについても納得したはずの浜田コーチが「成績が悪いと試合に出られなくなる」などと学生の不安を煽って織田監督の仕事を妨害したとし、のちに学業成績項目がスケート部の規定に盛られたことを知り、激怒してハラスメントを繰り返したとする。しかし、浜田コーチの加害行為についてはその程度で、織田氏が動悸、めまい、吐き気などを感じ「精神的苦痛で入院した」などの被害面に大きくページが割かれている。

 会見では「浜田コーチの歳が倍近く上で言えなかった」などと訴え、号泣こそしないが目は真っ赤だった。織田氏は涙腺が弱く「泣き虫」で知られる。関大の学生時代、飲酒でミニバイクを運転していたことが発覚した時は、あたり憚らずぎゃんぎゃん泣いた。2013年の全日本選手権で、浅田真央選手の後塵を拝していた鈴木明子選手が13回目の挑戦で初優勝した時は、もらい泣きして号泣する織田氏の姿が全国に放映された。

 しかし、そんな織田氏に好感を持っていた長年のフィギュアスケートファンの女性も、今回の件については次のように手厳しい。

「あの時の涙はよかったけれど、今度はいい歳して情けない男だという印象。あの程度のことで泣いて訴えるなんて織田信長の子孫とは思えない。世の中、もっと理不尽なことに耐えて働く男の人はいっぱいいますよ。まるで子供。がっかりしたわ」

 大阪地裁の織田氏の会見を取材していた女性記者も、「あまり織田さんに肩入れして書く気持ちにはなれない」と吐露する。

根本的な原因は関西大学の不適切な処理

 織田氏と浜田コーチの関係がこじれた一因は、織田氏が9月に自身のブログで浜田コーチのことを訴えた際、関西大学が適切に処理しなかったことだが、根源的な間違いは大学が「人寄せパンダ」的に、指導年数も浅く「他業」も忙しい織田氏を2017年春に監督に据えてしまったことだ。解説やタレント活動もし、プロとしてアイスショーに出ている織田氏が毎日リンクに来て指導していたとは思えない。浜田氏から見れば「あなたなんか指導現場にいないことが多いじゃないの」と、軋轢が増すことも仕方がないだろう。

 昨今、大学、特に私立大学はメディアに露出することに躍起になり、有名人を引っ張り合う。関大OBでもあり、監督に持ち上げられた織田氏は今回のことで9月に自ら監督を辞した。しかし仮に関西大学が対立した2人のどちらかを選ぶとすれば、平昌五輪4位という実績者の宮原知子や、今をときめく十代の紀平梨花を直接に指導する「名伯楽」浜田コーチを選ぶことは目に見えている。織田氏は大学が自分をどう利用していたのか、について思慮が足りなかった気がする。

 織田氏は会見で「自分は弱い人間ではない」と強調していた。世間の「泣き虫」の印象を懸念し、「強い男でも訴えるほどのハラスメントだ」と言いたかったのだろう。しかし、強い、弱いはいざ知らず、32歳という年齢の割に世間知らずで幼な過ぎたのではなかろうか。

 在阪の放送局関係者も「今後、織田さんの出演はかなりハードルが上がったでしょうね。訴訟はイメージが悪いし、損したのでは」と見る。「訴えるにしてもGPファイナルが終わってからにできなかったのか。トップシーズンに水を差すような提訴には疑問を感じる」などと、スケート連盟関係者の「恨み節」も強く、イメージダウンは避けられない。

 裁判で今後、何が出てくるのかはわからないが、浜田コーチの「モラハラ」が訴状に書いてあることだけなら、このタイミングで提訴までしたことで失うもののほうが大きいかもしれない。織田氏は提訴前に人生の損得勘定はしたのだろうか。もっとも「天然」で「純な」織田氏のこと、「損得」で生きているのではないのだろうが。

(文=粟野仁雄/ジャーナリスト)

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