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時給1600円も…東京五輪、ボランティアと同じ仕事内容のバイトをパソナで大量募集

文=編集部
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「ボラ8万人、雇わずに安く済ませたかった」

 東京五輪のボランティア問題に詳しい作家の本間龍氏は次のように語る。

「20万人もボランティアの応募があって、そのなかでマッチングをして8万人を選んだのに、今になって人手が足りないというのはいったいどういうことなのか。極めて不可解です。

 パソナがオフィシャルサポーター契約をした時点で、『集めたボランティアのとりまとめを行うチームリーダーを、同社がプールしている人材から派遣するのだろう』と推測していましたが、新たに大規模にアルバイトを募集するとは思いませんでした。

 ここで考えられるのは、まず酷暑に対する組織委の恐怖感です。実際にボランティアを集めてみたものの、大会が近づくにあたって熱中症の危険性が高まり、いろいろなメディアで指摘され始めています。この結果、大会当日、ボランティアが来ないということを本気で恐れ始めたのかもしれません。かなり高い時給を支払えばスタッフのモチベーションも保てます。配属される部署によっては屋内の場合もあるでしょうし、これだけの時給を支払っていればがんばれると考えているのかもしれません。

 ボランティアの研修は大会までに2~3回しか行われません。速成人員だけで大会運営は難しいでしょう。今回、募集されているアルバイトは2~9月までの長期で、しっかり研修もできますし、その間に組織委に囲い込めるはずです。当初、フォークリフトなどを使用するロジスティクス部門での採用がメインだったヤマトHDの募集も、最新の求人広告では業務内容に『選手村のアテンド』に近い表現が加わりました。

 選手村など絶対に欠員が出てはいけない場所をアルバイトで固めるのでしょう。パソナ、ヤマト双方ともに募集人数は明らかにされていませんが、おそらく数千人規模と見込んでいます。組織委としては、その規模であっても、8万人のボランティア全員を雇うよりは安くなるということなのでしょう。

 組織を組み立てるのにあたって、プロを入れるのは理解できます。しかし、それなら、最初から全員、アルバイトで雇えば良いのではないでしょうか。同じ仕事をするのに、片方では高い賃金が支払われ、一方では労働ではないというのはいかがなものでしょうか。

 ボランティアに参加した人たちからも、厳しい研修の様子を聞いています。『資料はすべて頭にたたきこんでおけ』『時間に絶対遅れるな』『スポンサーの商品以外はSNSに写りこませるな』などを短い研修で叩きこまれています。研修は非常に高圧的な雰囲気だということです。同じような責任を負わされるのに、研修やフォローは促成栽培です。ボランティアからアルバイトに切り替える人も出てくるのではないでしょうか。なにより、ボランティアに参加した人に失礼です。

 組織委のホームページには今も『ボランティアは、TOKYO2020を動かす力だ。』という標語が掲げられています。組織委の方々に聞きたいものです。こんなことをして、ボランティアに参加した人がどのように思うか考えられなかったのですか、と」

 本間氏は今回のバイト募集に関して、組織委に質問状を提出している。回答は果たしてくるのだろうか。

(文=編集部)

 

BusinessJournal編集部

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