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六代目山口組に射殺された神戸山口組・古川幹部…「絶対的暴力」は分裂終結へのカードか

文=沖田臥竜/作家
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神戸山口組・古川幹部が射殺された現場

 忘れてはならないことがあった。2015年に日本最大の暴力団・山口組が分裂し、今もなお、その状態が続いているということだ。100年以上も続く過去の歴史を紐解くまでもなく、山口組が分裂状態にあるということは、いつ何が起きてもおかしくないことを意味する。そして、世間がそうした認識をあらためて持たざるを得ない事件が起きてしまった。

 六代目山口組と対立する、神戸山口組の古川恵一幹部が、兵庫県尼崎市の繁華街で銃殺されたのである。

 11月27日。その日、名古屋市内では、六代目山口組の盃事(さかずきごと)が執り行われていた。新直参に昇格を果たした親分衆が、司忍組長から親子の盃をおろされたのだった。本来なら、その年、新直参に昇格した親分衆の盃ごとは、事始めの日、つまり12月13日に執り行われる。だが今年は、例年この儀式を行ってきた神戸市灘区の六代目山口組総本部が使用禁止の制限を受けていることから、場所を変え、名古屋市内の関連事務所で通常よりも早い時期に執り行われることになったのだ。

 その関連施設に全国から集結した親分衆の表情は、厳粛した空気の中にあっても柔らかく、滞りなく儀式が終わると、親分衆は開催場所となった名古屋を後にしたのだった。そこには、後に起こる射殺事件の前兆など微塵もなかった。だが、その時すでに、尼崎市には、マシンガンなどで武装した元六代目山口組系組員が潜伏していたのである。

 銃撃事件発生後、数分後には筆者の携帯電話が鳴り響いていた。これが神戸山口組の古川幹部が射殺されたという第一報だった。しかも、筆者の地元である尼崎で事件は起こったというのである。

 「ものすごい音の銃声が立て続けに10回以上聞こえたので、見に行ったら古川さんの店の前だった。すぐに救急車やパトカーが到着したが、古川さんは、もしかすると殺されたかもしれない」

 たまたま近くの商店街で買い物をしていた知人からの電話であったのだが、詳細を聞くにつれ、すでに古川幹部が絶命してしまったことを察することができた。救急車は到着しているのに、古川幹部は横たわったまま、布を被せられた状態だと聞かされたからだ。本来なら、すぐにでも病院へと搬送すべきところ、それをしないということは、すでに古川幹部の命は助からず、現場保存が優先されたということだろう。その数分後から、筆者の携帯電話が立て続けに鳴り響けることになる。

昨年も立て続けに襲われた古川幹部

 今年9月頃だったろうか。古川幹部が渡世から引退するのではないかという噂が立っていた。その後、年内限りで引退するのではないかという内容に変わり、同時に筆者は違う筋から、次のような話を耳にしていた。前記した通り、今回の事件は古川幹部の店の前で起きた。正確には、古川幹部の息子が経営する居酒屋である。この店を年内で閉めて、移転先の物件を探しているという情報を得ていたのだ。

 その理由のひとつとして、古川幹部の息子が経営する居酒屋は、六代目山口組サイドに、あまりにも知られ過ぎていたこともあったのではないだろうか。この店は、古川幹部の自宅から歩いて5分ほどの場所にあり、本人にとっては確かに便利ではあっただろう。一部では、阪神尼崎の繁華街や商店街に面しており、賑わいを見せている場所のように報道されていたが、実際は違う。商店街の中心部より一本路地に入っており、死角になりやすい立地条件だった。だからこそ、古川幹部はこれまで同じ場所で六代目サイドから、昨年3月と今年7月に2度も襲撃を受けたのである。【参考記事「神戸山口組幹部、再び襲われる」

 それだけではない。まだ古川幹部が率いる二代目古川組が六代目山口組傘下にあった時、陣中見舞いへと訪れた六代目山口組の最高幹部らを招いた際にもその店を利用している。その後、神戸山口組へと移籍し、しばらく経ったのちのこと。別の事件で六代目山口組傘下の組員が逮捕された時には、その所持品からその店の場所を書き記した地図のメモ書きが見つかったこともあったのだ。

 今回の射殺事件に関する予兆もすでに起きていた。当サイトでも指摘しているが、ここ最近、神戸山口組幹部が立て続けに狙われる事件が起きていたのだ【参考記事「神戸山口組直参組長連続襲撃の真相」】。「狙いやすさ」という意味では、頻繁に現れる場所が特定されているという事情も含めて、古川幹部がターゲットにされても、なんらおかしくはなかったのだ。

 一連の流れから見て、六代目山口組は分裂騒動に一気に決着をつける動きを見せているといってもいいだろう。仮に分裂騒動に終止符を打つために最終的な話し合いの場が設けられるにしても、その話し合いを優位に進めるには、絶対的な暴力という交渉カードが必要とされる。そのための「準備期間」が、今なのかもしれない。

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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