レスキューアニメ『プロメア』医師も舌を巻く正確な医療知識…京アニ事件への悲しみを胸に

京アニ放火事件の悲しさ、悔しさ

『プロメア』で中心的に取り上げられている災害は前述の通り、火事です。今年、2019年に起きたさまざまな事故、災害のうち、火事については、アニメファンにとっては特に非常につらい出来事がありました。7月に起きた京都アニメーション放火事件です。

　京都アニメーションは、『涼宮ハルヒ』シリーズ（TOKYO MXほか、2006年〜）や『けいおん！』（TBS系、2009年〜）など、トップクラスにクオリティの高い人気作品を生み出してきたアニメ制作会社であり、多くの犠牲者を出してしまったこの事件に対し、いちファンとしても、ただただ言葉にならない悲しさ、悔しさがこみあげてくる出来事でした。

　どんなに科学技術や知識が発達しても、災害救助や医療はいまだ完璧なものではなく、自然災害の脅威や人間の底知れぬ悪意を向けられた際には、時に、無力です。しかし現実でもフィクションでも、一人でも多くの人が笑顔を取り戻せるよう、災害に、苦しみに立ち向かっている人たちがいるのも事実です。人を慈しみ、災厄に立ち向かう意思がある限り、レスキューを主題にした作品は生み出され続け、人々への希望となるのだと思います。

　願わくは、これから先も、絶えることなく、新たなレスキューヒーローが生み出され、人々の希望とならんことを。

（文＝Dr.Chem）

Dr.Chem（どくたー・ちぇむ）
ファーストガンダムと同じくらいの時期に生まれた、都内某病院勤務の現役医師。担当科は内科、オタク分野の担当科はアニメ、ゲームなど主に2次元方面。最近、自分がオタクになるきっかけになった平成初期の名作アニメのリバイバルが相次いでいることにおののいています……。（写真は、愛用のIMAX用3Dメガネ）