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二刀流大谷翔平、令和の怪物佐々木朗希、マリナーズ菊池雄星…岩手県はなぜ好投手を生むか

文=美山和也
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2019年9月11日、今季18本め、メジャー通算40本めの本塁打を放ち、チームメイトに祝福されるロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。1994年に岩手県水沢市(現在の奥州市)に生まれ、菊池雄星に憧れて彼と同じ花巻東高校に進学した。(写真:アフロ)

「これからは、中南米よりもIWATE」――。メジャーリーグのスカウトたちの間でそんな言葉さえ交わされているという。

 日本シリーズ、東京五輪出場権のかかったプレミア12大会も終了し、プロ野球界はオフシーズンに突入した。しかし、スカウトマンなど裏方のスタッフたちはすでに来季に向けて動き始めている。“秋全国大会”とも称される、明治神宮野球大会の視察だ。来年10月のドラフト会議に向け、高校2年生たちの調査が始まったのだ。その舞台である神宮球場のネット裏には、なんとメジャーリーグ・スカウトの姿も。東北地区の高校は今年、夏の甲子園の決勝には進めなかったが、彼らは「IWATE」(岩手県)を口にしているのだ。

「キクチ、オータニ、ササキ。これだけ立て続けに好投手が岩手県から輩出されれば、岩手県に『ヒミツの育成マニュアル』があるんじゃないかって(笑)。ちょっと前まで、メジャーリーグの好選手といえば、中南米の出身者ばかりでした。その中南米の野球人口が減ったせいもあって、岩手県に注目が集まっているんですよ」(ア・リーグ中部地区スカウトマン)

 確かに、岩手県からは好投手が続けて輩出されている。アメリカの野球ファンのハートをガッチリとつかんだ二刀流の大谷翔平は岩手県奥州市の出身、今年のドラフト会議の主役でもあった“令和の怪物”佐々木朗希は岩手県陸前高田市の生まれだ。シアトル・マリナーズに移籍した菊池雄星の故郷も岩手県盛岡市である。また、巨人のハズレ1位ながら、原辰徳監督が「近い将来、必ずエースに」と大きな期待を寄せている堀田賢慎投手も、高校は青森山田だが、岩手県花巻市の出身。前出の米スカウトではないが、岩手県には、投手育成のヒケツのようなものが存在するのだろうか……?

私立高では室内練習場を完備

「ドラフト当日、夜8時台のNHK岩手のニュースで、『岩手出身者が4人指名された』と紹介していました(育成含む)。ひとつの都道府県から4人も同時にプロ野球選手が出るなんて、確かにすごいこと」(スポーツ紙記者)

 佐々木、菊池、大谷に共通していえるのは、指導者に恵まれたことだろう。佐々木を育てた岩手県立大船渡高校の国保陽平監督は、まだ32歳ながら米独立リーグを経験するなど異色の経歴でも知られている。今夏の岩手県決勝戦では「故障に繋がりかねない」とし、佐々木を投げさせず話題となった。佐々木の将来を見据え、彼を守ったのである。

 私立花巻東高等学校の佐々木洋監督は「3×3マス」のマンダラチャート表を使って、「夢を達成させるためには何が必要か」を選手らに考えさせ、菊池、大谷を育てていった。また、同校の野球部寮にはウエイトトレーニング・ルームもあり、専門のトレーナーが待機している。しかし、こうした練習施設は岩手県だけではなく、全国の強豪校にも備えられており、名将と称される高校野球の監督は日本中にいるだろう。

「今や全国の私立高校には室内練習場があることが珍しくなく、雨天でも基礎体力の強化練習が可能です。九州や沖縄では冬場でもグラウンドが使えるので他地域よりも練習量が多くなり、その結果、西日本には強豪校が多い……とは昔からいわれていることですが、現在でも確かにそういう面はある。とはいえ室内練習場の普及のおかげで、北日本の高校でもトレーニングは冬場に可能となった。といって、冬場のトレーニングに関して東北地区で特別なことがなされているという話は聞いたことがないですね」(前出・スポーツ紙記者)

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