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小池・東京都知事、来年の再選が確実な情勢…女性や経済界から圧倒的な高い支持

文=田村建雄/ジャーナリスト
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第32回東京国際映画祭に出席した小池百合子都知事(写真:2019 TIFF/アフロ)

 来年2020年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックを迎えるが、オリンピック開催中に開催都市・東京のトップ、都知事の任期が満了となる。7月24日開幕、8月9日閉会の東京オリンピックと都知事の任期満了日(7月30日)が重なるためだ。そのため都選管は知事選での混乱を避けるため、このほど知事選日程を「やや前倒し」して6月18日告示・7月5日投開票とすると決定した。

 そんななか、小池百合子都知事は出馬をいまだ表明していないが、再選を目指し出馬することは確実。今、水面下で着々と準備を重ねているといわれている。それに対し、反小池で前回大差で敗れた自民党東京都連(鴨下一郎会長)は、なんとしても小池氏再選を阻んで都知事の椅子から引きずり下ろし、自分たちの意に沿った新都知事で東京オリンピックに臨みたいところ。そのため候補擁立を模索するが、11月末現在、いまだに候補は決まらず焦りの色を濃くしている。筆者から見ても、自民党が小池氏に勝てる候補を擁立できるかどうかははなはだ疑問なのだ。

 なぜ、そう思うか。それは27年間小池氏の政治手法を見てきた筆者が客観的に分析した結果、小池知事再選を有利にする以下の5つの大きな要素があるからだ。

第1の要素:支持率回復傾向

 今の安倍政権の支持率は「桜を見る会」の問題があっても各種調査で45%前後。1年前、森友加計問題で政権支持率が40%を切っても、その後の参院選で自民党は勝った。

 それに対し、小池氏の支持率はどうか。小池氏は16年の都知事選で次点候補に100万票以上の大差で圧勝したが、その直後の支持率は70~80%。しかし小池新党が国政進出を試みた17年総選挙では、小池氏の失言で大失速。その直後の調査では支持率は20%台に急降下、次の都知事選挙に黄信号が点滅していた。これに対し、小池氏はひたすら耐えた。

「バッシングや批判にジッと耐えながら黙々と公務に努めた。そしてミニ集会に頻繁に顔を出す。今でも都内で50人以上集まるイベントがあれば小池がいる、とまで揶揄されるほどマメマメしく会合に顔を出し続けている」(都議会関係者)

 こんな都知事はかつていなかった、といわれるほどだという。これで一度失速した支持率が徐々に上向きになり18年には全国紙などの調査で再び50%台まで上昇。今は、さらに回復し60%近くまで上昇しているといわれる。安倍政権を見れば、この小池氏の高い支持率に加え現職知事となれば絶対強い、というのは多くの選挙アナリストもうなずくところだ。

第2の要素:都知事選の大きな趨勢を決める公明党、創価学会と良好な関係

 公明党は長らく自公連携で与党として都政にかかわってきた。だが小池知事誕生で公明党は自民党と一線を画し、小池支持にまわる。17年には一時、小池氏の失速で公明党が離れかけた時もあったが、今や再び蜜月といわれる。

 たとえば今年の8月6日、小池氏は都内で公明党都本部所属の国会議員や都議と意見交換をしている。その席でも公明の要望を100%吸い上げるがごとく強い姿勢を示し、公明党関係者を笑顔にさせていた。さらには都内公立小中学校の体育館への冷暖房設置を訴えた公明党の強い要望に対し、18年の補正予算で92億円を計上するなど、小池氏は公明の要望を次々と実現しているという。

「都議会最大与党の都民ファーストの会が公明党要望に次々と賛成。公明党の提言政策は自民党と与党を組んでいたときより、はるかに実現度がアップしているといわれています」(都政ウオッチャー)

 それだけに、都議会議席23議席を持つ公明党は、ここにきて小池再選を大きく後押しする気配だ。都内の公明党、創価学会票は約80万票。支持率の高い小池氏がこの基礎票を得れば、さらに安定度を増すのは必至と囁かれている。

第3の要素:自民党分裂ぎみの余波

 自民党都連が小池氏の対抗馬擁立の動きを加速させているが、いまだ有力候補は見つかっていない。都連は17年の都議選で都民ファーストの会に大敗し、都議会第一政党だった57議席から23議席へ半減以下に減った。さらに都政でもことごとく煮え湯を飲まされてきただけに、小池氏を引きずり下ろしたいのはやまやま。だがいまだに小池氏に勝てる候補を探せていない。今年夏の参院選でトップ当選した元テレビ朝日アナウンサー、丸川珠代参院議員などに内々で打診するもののスルーされている、といわれている。

 もうひとつやっかいなのは、小池氏と旧知の仲の二階俊博自民党幹事長だ。二階氏は小池氏とたびたび会食し、「小池氏が立候補したら自民党が応援するのは当たり前」と一貫して支持の立場。これで、党内は小池派とアンチ小池派で真っ二つ。しかも安倍首相は、あまり小池氏を批判していない。これでは東京都連が候補者を擁立しても、小池氏に勝てる可能性がさらに薄くなる。だから丸川氏など有力候補と思われる人物は軒並み腰が引けるのだ。

第4の要素:女性支持が高い

 初の女性都知事。この立ち位置で女性の間で小池氏の評価は高い。

 女性都議はいう。

「国会議員時代から常に政治家として『女性初』の冠を載き、それを切り開いてきた女性。自民党総裁選にも挑み、そして女性初の都知事。彼女に対して批判はあるものの、多くの女性の間では先駆者としての評価のほうが高いのです」

 11月16日には全国の女性首長や経営者による会議「女性首長によるびじょんネットワーク(通称:びじょネット)」が東京商工会議所で開催された。全国で女性活躍を後押しすることを目的とした同会議。会場には全国の女性首長21人や女性経営者、大学研究者が集合。その旗振り役は小池氏と吉村美栄子山形県知事。小池知事は「『ジェンダーギャップ指数』(注:男女格差)が147カ国中110位、G7では最下位というのが現状。女性がリーダーであることでこれまで気付かなかった分野で新しい価値創造の取り組みができるきっかけにしたい」とあいさつした。

「女性たちも、小池氏の女性突破者的な動き、現在の男社会、男政界に風穴を開ける姉御肌の小池さんを一様に歓迎する女性が多い。東京は特に多い。女性の支持が多い政治家は選挙に強いです」(前出・女性都議)

第5の要素:時代を先取りする大胆な政策を実行

 あるIT業界関係者はいう。

「05年に小泉純一郎内閣の環境相として就任していた小池氏がクールビズを打ち出したとき、男性たちは鼻で笑った。『男にとってネクタイは命、そんなに簡単に取り外せるわけがない』と。しかし、今や夏場にネクタイをしている人は少ない。時代を先取りして旗振りした小池氏の嗅覚は凄いとしかいいようがない。

 今年の秋は関東地方や東北、中部地方を次々と大型台風が襲い、ライフラインが壊れたが、そこで政策として注目され始めたのが電線の地下埋設、無電柱化だ。ものすごいコストがかかるため、どの地域でも、これまでは足踏み状態だが、この政策を早くから掲げていたのは小池氏だ。コストをどう安くできるのかとあわせて、災害やテロに強い街づくりが注目を集め始めた。こうした先取り能力において、小池氏は卓越している。

 しかし、なんといっても凄いのは5Gを整備して世界最速のモバイルインターネット網で世界最先端の都市を目指す『TOKYO Data Highway(東京データハイウェイ)戦略』ですよ。小池氏はヤフー元社長の宮坂学氏を副知事に据え、東京の持つ空き資産や首都高周辺などに次々と基地局を設置する方向。さらに資本も投下して中国やアメリカにも勝つ世界最先端の5G都市をつくり上げたいと意気込む。これが実現すれば、交通網も医療もあらゆる点で世界屈指の5G都市になるのは間違いない。彼女は再選後の東京のあるべき姿を目指し、ものすごい政策を動かし始めたのです」

 筆者も長い間、国政に進出した頃から小池氏を見ているが、一見無理と思える政策を実現するために、ヤルと決めたら邁進する実行力はものすごい。そして柔軟な発想も持っている。

 今回、小池氏が再選する可能性が高いと考えられる5つの理由をあげたが、これらに小池氏のバイタリティ、東京や日本を良くしたいという強い思いが加われば、果たして小池氏に勝てる候補はほかにいるのかと思えてくる。

 小泉元首相が19年10月、二階氏、小池氏と会食後に「自民党は今、(小池氏以外の)候補者を検討しているようだが、小池さんに勝てる候補はいないだろう」と漏らしたのは、まさに現状を冷静に分析した言葉ともいえる。

 東京オリンピックのマラソンをIOCが突然、札幌に移転すると公表したとき、激しくIOCに抗議、東京都民の心を代弁したあたりで、小池氏再選の追い風はさらに強くなったと思うのは筆者だけか。そして自民党は、そんな小池氏に勝てる候補を擁立できるのだろうか。

(文=田村建雄/ジャーナリスト)

田村建雄/ジャーナリスト

田村建雄/ジャーナリスト

1950年茨城県生まれ。茨城県の地方紙(常陽新聞社)記者を経て、週刊誌専属記者に。その後、フリージャーナリストとして、月刊誌、週刊誌、夕刊紙などに、政治、社会問題ルポを中心に執筆。著書に『ドキュメント 外国人犯罪 金のためなら命はいらない』、『産廃汚職 利権に群がる議員・業者・暴力団』、『北朝鮮利権の真相』(共著)など。

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