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台風15号、なぜ千葉県睦沢町は大規模停電を免れたのか?「電力の地産地消」が重要

文=明石昇二郎/ルポライター
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 つまり、睦沢町道の駅は「全町ブラックアウト」した際の防災拠点としてフル稼働していたのだった。この活躍ぶりは、台風15号被害を報じるニュースの中でも取り上げられ、今も視察などの問い合わせが多数寄せられているのだという。

もともとは「津波災害への備え」としての施設だった

 とはいえ睦沢町の道の駅は、今回のようなブラックアウトを見越してつくられていたわけではない。

「東日本大震災がなければ、たぶんつくっていなかったと思います」

 こう語るのは、「道の駅むつざわ つどいの郷」のガスコジェネシステムを運用する「CHIBA むつざわエナジー」の松田健士さんである。千葉県は2011年3月の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の際、県沿岸部が津波による被害を受けた。これを受け、同様の津波災害が発生した時に避難者を受け入れる一方、救援に当たる自衛隊などの活動拠点とするというコンセプトの下、津波の影響を受けない内陸部の睦沢町に整備されたのが「道の駅むつざわ つどいの郷」だった。この道の駅は国土交通省が選定する「重点『道の駅』」にも選ばれている。

台風15号、なぜ千葉県睦沢町は大規模停電を免れたのか?「電力の地産地消」が重要の画像3
「スーパー道の駅」外観

 特筆すべきは、道の駅のある一帯は天然ガスが産出され、非常時の発電燃料として利用できる上に、平常時には省エネにもなるということで、地元産のガスを100%利用するガスコジェネレーション発電機(ガスエンジン発電機)が装備されていることだろう。エネルギーの「地産地消システム」まで備えた「スーパー道の駅」なのである。

 普段はガスコジェネ発電と太陽光発電を合わせ、使用する電気の4~5割を自前で賄う。残りは東京電力の系統電力を使っているが、かなりの“節電率”だ。ちなみに「地産地消システム」の最大能力は、使用電力の8割を自前で賄える力がある。こうした自律的なエネルギー供給システムのことを「マイクログリッド」という。

 併設された温浴施設では、天然ガスを採掘する際に発生する地下水を利用。この地下水には温泉と同様の成分が含まれており、ボイラーで温めるだけでなくガスコジェネ発電機の廃熱や太陽熱温水器も利用して、“温泉”としての効能も楽しむことができる。

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