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“国産”エルピーダメモリを倒産させた坂本幸雄元社長、中国半導体大手の副総裁に就任

文=有森隆/ジャーナリスト
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坂本氏が社長を務める半導体設計会社はサイノキングテクノロジー。日本と台湾の技術者合計10人で立ち上げ、今後は日台と中国を中心に設計や生産技術の担当者を採用して1000人規模の技術者集団にする。新会社は中国安徽省合肥市の地方政府が進める約8000億円をかけた先端半導体工場プロジェクトに中核事業として参画する。サイノ社側が次世代メモリーを設計し生産技術を供与する。第1弾として、あらゆるものがネットワークにつながる「IoT」分野に欠かせない省電力DRAMを設計し、早ければ17年後半に量産する>

 青写真は壮大だったが、発足会見は中止に追い込まれた。日経の記事は、<サイノ社が設計・生産技術に特化し、数千億円規模の投資が必要な半導体工場の資金負担は中国に任せる国際分業の新しい形態を模索する>となっている。「模索」の段階で、坂本氏は大風呂敷を広げ過ぎたのではないのか。

「サイノキングテクノロジーリミテッド、およびサイノキングテクノロジージャパン株式会社のCEO(最高経営責任者)には、私、坂本幸雄が就任しました。サイノ=中国の、キング=王、つまり『中国で圧倒的に優れたDRAMを作っていきたい』というコンセプトのもとに生まれた会社です」

 サイノキングテクノロジージャパンのHPで、坂本氏はこう書いていた。「今後、日本と台湾とで、計二百数十名のengineerを採用していきます。このメンバーの経験と技術力を核とし、2017年中に日本、台湾、中国合わせ、1000人規模のエンジニアを有するメモリー開発会社にする計画です」と坂本氏は綴る。しかし、会社概要に資本金の記載がないのである。この一点をもってしてもケッタイな会社、不可解なプロジェクトだということがわかる。

再建請負人が倒産させたエルピーダメモリ

 坂本氏は1970年に日本体育大学体育学部を卒業し、高校野球の監督になるという夢が破れ、義兄の紹介で半導体メーカーの日本テキサス・インスツルメンツ(TI)社に入社した。体育会系で半導体に関する知識もなく、倉庫係として資材の出入庫から学び始めたというのが、自慢だ。

 徹夜もヘッチャラというタフな働きぶりが認められ、TI副社長に上り詰めた同氏は、その後、半導体事業の再建請負人となる。神戸製鋼所の半導体本部長、台湾の半導体メーカーの日本法人、日本ファウンドリー(のちのUMC JAPAN)社長を務めた。

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17:30更新
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