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たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

ティファニーまで買収したLVMH、ブランドの巨人に…燻るシャネルとプラダ買収の噂

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学院講師
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 「カシミアを着た狼」と呼ばれるベルナール・アルノー会長がファッションビジネスへ参入したのは、1984年に資金難に陥っていたクリスチャン・ディオールの親会社を買収したのがきっかけだった。その後、ルイ・ヴィトン、セリーヌ、ジバンシィ、フェンディなどを 次々と買収し、グループ全体を成長させてきた。すべてではないが、一時的に苦境に陥っているブランドを安値で買い再生させて資産価値を高めるのがアルノー氏流であり、「カシミアを着た狼」と呼ばれる由縁である。

 また、仏エルメスの株を買い集めて同社と裁判所で争いとなったのは記憶に新しい。LVMHは否定しているが、シャネルやプラダの買収を狙っているという噂も業界ではまことしやかに囁かれている。

 カルティエに代表される宝飾部門に強いスイスのリシュモングループ、グッチやサン・ローランが急成長する仏ケリンググループ、そしてLVMHは高級ブランドの欧州3強と呼ばれる。今回LVMHがティファニーを傘下に収めることにより、その売上高はほか2社の約3倍となる。

3.買収への伏線?

  2011年にイタリアを代表するジュエラー、ブルガリがLVMHに買収された際のCEO、フランチェスコ・トラーパニ氏は創業一族であり15年以上もその地位にあった。LVMHの時計・宝飾部門のトップを務めた後は投資会社に転身した。

 現在、2017年からティファニーのCEOを務めているアレッサンドロ・ボリオーロ氏は、1996年から2012年までトラーパニ氏と共にブルガリの経営に携わっていた。そして、ティファニー取締役会のメンバーにトラーパニ氏の名前もあった。今回の買収は法に則った合意であり、規制当局や株主の承認などの手続きにも支障は起きないであろうが、トラーパニ氏がティファニーの経営陣に名を連ねていたのは、ただの偶然なのだろうか。

4.まとめ

  今回の買収合意は、日本でいえば真珠のMIKIMOTO(ミキモト)が仏企業に買収されるようなものである。グローバル化が進む今日、海外企業による日本企業の買収も驚かれなくなった。上場会社でも株主の半数以上が外国人・外国企業というケースも珍しくない。国内市場が確実に収縮するなか、従来の延長線上では想定できない課題にも備える必要がある。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学院講師)

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