0〜2歳児の保育料は、原則的に無償化されない。また、認可保育所の保育料は公立・私立問わず所得を基準に算出される。所得が少ない低所得者層は、すでに保育料が安く抑えられている。一方、高所得者は多額の保育料を支払っている。保育料には上限額があり、自治体によって上限額は異なるが、おおむね月6万5000円〜7万円ぐらいに設定されている。これらが一律に無償化されるのだから、幼保無償化は明らかに高所得者層を優遇している。

「それでも、保育料が無償になることで家計の負担が軽減される」と喜ぶ向きもある。しかし、無償化の財源は国民の税金で賄われている。幼保無償化という高所得者を優遇するための政策に税金を使っていることになるのだ。庶民の生活を厳しく追い込む消費増税を強行しながらも、その痛税感を和らげるための政策は高所得者に大きなメリットをもたらす。これでは、ますます格差が広がるばかりで、少子化を解決する糸口にはならない。

待機児童の解消につながらず

 そして、幼保無償化は社会問題化になっている待機児童の解消にもつながらない。なぜなら、待機児童はほとんどが0〜1歳児で起きているからだ。認可保育所には保育士の配置基準が定められており、預ける乳幼児の年齢に対応して保育士を配置するように決められている。例えば、0歳児3人に対して、保育士1人の配置が義務付けられている。仮に30人の0歳児を預かる保育所には、最低でも10人の保育士が必要になる。しかし、乳幼児の年齢が上がれば、この配置基準は緩和される。3歳児以降は幼児20人に対して保育士は1人ですむ。

 こうした状況からもわかるように、0〜1歳児の受け入れをどう拡大していくのかが、現在の子育て支援政策の課題だ。幼保無償化は、単に金を出すだけで、子育て支援とはほど遠い政策といえる。

「本来、子育て支援に取り組むなら、保育士の給与や労働時間の短縮といった、処遇改善を進めることが第一です。処遇改善が進むことで、保育士が増えます。保育士が増えれば、保育所の数や受け入れ数が拡大できるのです」(前出・自治体職員)

 誰しも、保育料の負担が軽減されれば嬉しいだろうが、幼保無償化の実態は「無償」とは程遠い。そして幼保無償化で財源が不足すれば、それを増税で賄うしかない。さらなる増税が実施されれば、低所得者層の生活は苦しくなる一方だ。幼稚園・保育所・地方自治体関係者からは、早くも「幼保無償化は天下の大愚策」という声が聞かれるようになっている。

(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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