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かつや、客離れ“起きず”12期連続増益の無敵経営…永久に100円引き、絶えず新商品

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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ライバルが続々登場

 かつやは、こうした施策で集客を実現し、勢力を伸ばすことに成功した。ただ、最近は同業種の競合が急拡大しており、油断はできない。

 特に大きな対抗勢力として急成長しているのが、「松のや」「松乃家」だ。牛丼チェーン「松屋」を展開する松屋フーズホールディングス(HD)傘下のとんかつ店で、現在全国に190店以上を展開。店舗数は右肩上がりで増えている。

 松のや・松乃家も、かつやと同じく低価格が売りだ。「ロースかつ丼」はみそ汁付きで550円、「ロースかつ定食」も550円と格安。松屋フーズHDは、とんかつ業態を牛丼に次ぐ第2の柱にしようとしている。

 ちゃんぽん店「リンガーハット」を運営するリンガーハットも、とんかつ業態の「濱かつ」を展開しているが、同社も濱かつを第2の柱にしている。

 とんかつ店は外食市場のなかでも有望だ。調理や片付けの手間がかかる揚げ物は家庭では敬遠されるようになった。しかし、食べ物としての人気は依然として高く、外食が受け皿となっている。また、店舗でテイクアウト販売をしているところも多く、自宅で食事をする消費者の取り込みにも成功している。

 こうした需要を取り込むことで、かつやは大きく成長することができた。ただ、今後はそう簡単にはいかないだろう。かつやの成功を見てか、近年は外食大手が次々にとんかつ市場へ参入しているからだ。

 うどんチェーンの「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングスは、15年に「豚屋とん一」を出した。ほかにも、ファミリーレストラン「ガスト」を展開するすかいらーくホールディングスが16年に「とんから亭」、天丼チェーン「天丼てんや」がロイヤルホールディングスが昨年12月に「とんかつおりべ」、ラーメンチェーン「日高屋」のハイデイ日高も今年1月に「とんかつ日高」をそれぞれ出店。競争は激化している。

 こうした状況もあり、かつやの最近の既存店売上高は思わしくない。17年12月期まで6年連続でプラス成長だったが、18年12月期は前期比0.4%減とマイナス成長に陥った。19年1~11月期も前年同期比1.2%減と苦戦している。

 とはいえ、大幅減ではないので、今のところ大きな問題ではないだろう。注意を払いつつ、新規出店を進めて勢力を拡大させることが重要だ。飽和感が漂う牛丼などと違い、とんかつはまだまだ伸び代がある。競合に先んじるかたちで空白地を埋めることが重要となる。先行優位性を生かし、競争を制したいところだ。

 アークランドサービスHDの19年12月期第3四半期(19年1~9月)の連結業績は、新規出店効果もあって好調を保っている。売上高は前年同期比9.7%増の243億円、営業利益は10.1%増の33億円だった。今後、どこまで勢力を拡大できるかに関心が集まる。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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