すぎもとたかよし「サラリーマン自動車ライターのクルマ業界ナナメ斬り!」

日本カーオブザイヤー発表!“超忖度な選考プロセス”が業界の衰退を助長する? 

盛り上がるには緊張感こそ必要

 なぜって、とくに事情通ではない一般のユーザーは、本当にこれがベストの10台なんだと思ってしまうからである。本来、いちばん大切にするべきユーザーを騙すようなこの制度は、だから本当に罪深い。

 で、本来のベストではないから、今回の最終結果では大賞の「RAV4」の得票が436点なのに対し、10位のダイハツ「タント」はなんと21点という珍現象が起きる。つまり、タントには審査員のほとんどが最初から興味がなかったという、実にバカげた話なのである。

 さらに、6位(56点)のジープ・ラングラーに「エモーショナル賞」とか、9位(35点)の日産デイズ・三菱ekシリーズに「スモールモビリティ賞」を与えるというサービスぶりに加え、果ては10ベストにすら入っていなかった日産スカイラインに「イノベーション賞」を進呈するという、もはや忖度を絵に描いたような状況になっている。

 COTYの運営は自動車媒体が中心であって、メーカー団体ではない。つまりクルマという商品に対し、もっとも客観的で冷静な立場にあるべき存在であり、もちろん忖度など完全にNG。それは「業界を盛り上げよう」という話とはまた別だろう。

 そんな賞からは緊張感が薄れ、盛り上がりに欠け、影が薄くなっていくのは当然のことなんである。しかも、そうやって一生懸命忖度しているのに、状況は逆にますます悪い方向に向かってしまう。まさに、本末転倒の典型的な例じゃないか。

 僕自身も当然クルマが大好きなので、業界には大いに盛り上がってほしいと思っている。ただし、そこに必要なのは緊張感であり、本物しか認めないという志の高さなんだと思う。10ベストどころか、年によってはイヤー・カーの該当がなくたって構わないのだ。

 そうした姿勢は、遠回りのようで、実は業界活性化のために一番の近道ということに、そろそろ気付いてもいいんじゃないだろうか。

(文=すぎもと たかよし/サラリーマン自動車ライター)

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