大戸屋『ガイアの夜明け』密着で大炎上 中間決算は赤字転落の画像1
「Getty Images」より

 12月10日に放送された『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)が、従業員の長時間労働抑制に取り組む大手外食チェーンの大戸屋を特集。株式会社大戸屋の山本匡哉社長の言動に、「パワハラ」「ブラック企業そのもの」と多くの批判が寄せられることとなった。

 炎上した『ガイアの夜明け』は一体どのような内容だったのか。

大戸屋の店長たちは残業が常態化

 大きなテーマは、大戸屋の働き方改革。店長たちの残業時間をいかに減らすか、だ。

 今年7月に大戸屋のトレーニングセンターで開かれた店主会で、山本社長は店主たちに長時間労働の状況を聞いた。多くの店主が残業時間45時間を超えている現状を報告すると、山本社長は「本気になってる? 目が死んでるんだけど」「この会社、生きていけなくなると思う、このままでは」と叱責。具体的な改善策を練るでもなく、店主たちの努力不足を原因と捉えているような口ぶりに映った。

 新宿東口店の店長と山本社長の面談も撮影され、長時間労働について社長は「結局、あなたの価値観が変わってこないと、『(残業時間は)何も変わらないんじゃないか?』って数字しか出てこないから。意味が分からないんだよ」と、店長の意識の低さを指摘。しかし近隣店舗よりも時給が安いため従業員が定着していない現状が自身の長時間労働の要因になっているという店長の訴えを受け、渋々ではあるが賃金アップに応じた。

 一方、中野北口店の店長は、1時間単位からアルバイトを募集できるサービス「タイミー」を活用して自身の残業を減らそうとするも、思うような成果が出ていない。中野北口店店長との面談で山本社長は、「活気があると自信持てる? 今のお店に」「(タイミーばかり使っていて)空回りなんだって、努力が」と厳しい言葉を畳みかけ、「お店なくなるよ。その時は当然、今まで頑張っていようが店主を降ろすしかないよ」と通告した。

 番組終盤で山本社長は、店長が「月の残業時間を45時間以内に減らせた」という吉祥寺店を訪れる。店長は残業代込みの月給額を前提に住宅ローンを組み、子供二人を私立の学校に通わせている。そのため残業時間削減には反対の姿勢を見せていたが、山本社長は「頑張ったら給料が減るという仕組みには絶対にならない」と言い、安心を促した。ただ、浮いた残業代をどのように従業員に還元するのか、その具体的な対応策については語られていない。

 結局、労働時間を短縮したり、アルバイトの育成に力を入れたりなど、店長努力でなんとか残業時間の削減に向かっているという締め方で、経営サイドの采配は不明瞭。たしかにモヤモヤ感を覚える内容で、炎上もやむを得ないだろう。

 飲食業界、特に外食チェーンは多かれ少なかれ長時間労働が常態化している。しかし今般の労働基準法の改正により、1年間360時間、月45時間の残業時間上限が設けられた。違反すると企業側に6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。いかに長時間労働を抑制するかは多くの会社にとって大きな課題だ。

 当然、現場の努力だけで「残業削減」は達成できない。「残業はするな、売上は伸ばせ、効率よく働けるよう工夫しろ」と押し付けられれば、現場は疲弊するばかりだ。タイムカードを切らずに働くサービス残業の温床にもなる。現場に責任を押し付けるのではなく、経営層の事業計画が重要になるはずだが、大戸屋はどうなっているのだろうか。

炎上で公式ツイッター謝罪「貴重なご意見を…」

 大戸屋の公式ツイッターアカウントは番組放送前の12月10日、<あ~!放送直前の今、とってもドキドキしています!!ぜひご覧ください。>と投稿していた。

 だが放送終了後、「イメージダウンしました」「正直なところ社長の経営手腕にがっかりする部分は大きかったです。今のやり方ではいつか従業員を殺すことになると思います」といったリプライが多く投下され、炎上状態に。

 批判的な声が多く寄せられたことを受け止め、12月12日には「『ガイアの夜明け』をご覧頂いた皆様、ありがとうございました。現在も残業時間を含め、働き方の改革中です。ご視聴頂いた皆様からのご意見を誠実に受け止め、社員の皆さんが健全に働ける環境づくりを会社全体で取り組んで参ります。 この度は貴重なご意見をありがとうございました」とツイートしている。

 放送前の段階では、『ガイアの夜明け』における大戸屋の残業削減への取り組みが会社のPRになると踏んでいたのだろう。しかしブラック労働やハラスメントへの批判意識が高まる今、好感につながる内容だったとは言い難い。

 番組中、山本社長は「身を犠牲にして働くことを美学にしてきた社員たちは、その働き方が否定される時代になった」と働き方改革への不満を口にしていた。とはいえ、「これからの時代に向けた成長を達成していかなければいけない」とも語っており、“これからの時代”を見据えてもいる。

 大戸屋の持株会社である大戸屋ホールディングスは11月に行われた2019年9月期の中間連結決算で、2001年のジャスダック上場以来初の営業赤字を記録(1億8700万円の営業損益)。値上げによる客離れが理由と見られているが、V字回復を狙うならば従業員のモチベーションを上げるべく、「社員の皆さんが健全に働ける環境づくり」に本気で取り組んでほしい。

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