
視聴率の記録的低迷と出演者の不祥事降板、それを理由に火がついた内容への批判……暗いニュースばかりだった大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK)が12月15日、いよいよ最終話を迎える。
「主人公の知名度がなさすぎる」「時代が何度も行き来してわかりづらい」「落語のシーンが邪魔」「戦国や幕末ばかりの大河ドラマで放送するには無理がある」などの批判が飛び交っていたが、実際のところどうだったのか。
最終話を前に、さまざまな角度から前代未聞の大河ドラマ『いだてん』の是非を掘り下げていきたい。
もし2020年上半期の集中放送だったら
あらためて振り返ると、『いだてん』は日本人が初めてオリンピックに出場した1912年のストックホルム大会から1964年の東京大会までの日々を描いた物語。「翌年に迫った二度目の東京オリンピックを前に、過去の歴史を振り返りながら国民一体となって盛り上がろう」という狙いがあった。
しかし、まもなく幕を閉じる2019年を振り返ると、「2020年の東京オリンピックで盛り上がった」のは、チケット抽選くらいではないか。むしろ9月以降はラグビーの話題でもちきりであり、「東京オリンピックの出場選手が少しずつ決まり始めている」というニュースへの関心も低いままだ。
つまり、世間の人々にとって2020年の東京オリンピックはまだ先の話であり、『いだてん』は放送の時期が早すぎた。もし2020年の上半期に集中放送されていたら、もう少し視聴行動につながったのではないか。
その上、冒頭に挙げたような批判から「もっとも世帯視聴率につながる」と言われる中高年層の支持を得られなかったのが痛い。これまで大河ドラマを見ていた中高年層は、裏番組の『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)に夢中だ。
『いだてん』と同じ脚本・宮藤官九郎、チーフ演出・井上剛、制作統括・訓覇圭のトリオが手がけた『あまちゃん』は、中高年層の朝ドラファンから必ずしも支持を得られなかったが、ふだん朝ドラを見ない視聴者層をつかんだことでブームを巻き起こした。
イレギュラーな朝ドラだった『あまちゃん』のように、イレギュラーな大河ドラマ『いだてん』を放送するのなら、ふだん大河ドラマを見ない層をつかんでおかなければいけなかったが、この点でうまくいかなかったのが最後まで響いた。
伝説的アスリートの名シーンを連発
ふだん大河ドラマを見ない層をつかめなかったのも無理はない。明治、大正、昭和中期までという時代も、金栗四三と田畑政治という主人公も、2人を演じる中村勘九郎と阿部サダヲも、万人受けというより玄人受けの設定だ。
とりわけ苦しかったのは、金栗四三が主人公を務めた第1部。愚直に走る金栗の姿は感動を与えられる半面、主人公としての華に欠け、「“日本初のオリンピック選手”がどれだけ偉業なのか」は視聴者に伝わっていない。
もともと、ダブル主人公の金栗と田畑には「日本のオリンピック史における陰の立役者」という共通点があるが、全編を通して嘉納治五郎(役所広司)の存在があまりにも大きく、元来の知名度もあって「こちらを前半の主役にしたほうがよかったのでは?」という思いがにじむ。第2部で嘉納の遺志を田畑が受け継いで邁進していることを踏まえても、1部―嘉納、2部―田畑の主人公リレーだったほうが自然であり、ここまで視聴率も落ち込まなかったのではないか。
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