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「若者の車離れ」はまやかし?“免許離れ”ではなく“取得後ろ倒し”という合理的判断

文=A4studio

 だがこうした車の保有率は、地域差にも大きく影響されるという。

「年齢に関係なく47都道府県の免許保有率を見ると、東京や大阪といった都市部は保有率が少なく、地方都市は免許保有率が高い。これは公共交通機関の便利さに比例しています。都市部はJRや私鉄の路線が蜘蛛の巣のように張り巡らされており、利便性が高い。そして、“電車に乗るほうが安くつく”という声もありますが、電車の初乗り運賃が安いのは東京、大阪、名古屋の順となっており、利用客数が少なければ当然運賃も高くなるといった地域差が出ます。

 ちなみに、とあるドイツの大手自動車メーカーの社員が東京に視察にきた際に、『こんなに電車やバスが充実しているのに、なぜ日本人が車を買うのかわからない』と困惑したというエピソードがあります。それくらい日本の都市部は利便性が高く、かつ日本の都市部と地方の利便性には地域差があるんです」(同氏)

 では都市部の住民であれば、“車を持たないほうが得”ということになるのだろうか。

「免許を持つことは公共機関などでの証明書にもなりますし、カーシェアリングレンタカーの運転ができるなどメリットも多いです。しかしズバリ言ってしまうと、車を所有することに関していえば、購入後に価値は下がる一方で、経済的な面からみるとデメリットのほうが多いでしょう。ただ、車を所有していれば生活面では当然行動範囲が広がりますし、自宅に駐車スペースがあればドアtoドアで移動できる快適さも得られます」(同氏)

カーブランドの戦略変遷、そして日本と欧米の車観の違い

 トヨタの豊田章男社長が「メーカーが若者から離れてしまったのではないか。メーカーのほうから若者に歩み寄ろう」と発言しているが、メーカー側は時代に合わせどう舵取りを変化させてきたのだろうか。

「カーブランドの車業界に対するアプローチが変化してきたのは事実です。1960~70年代から日本の自動車メーカーは、アメリカへの輸出に力を入れてきました。しかし、日本に限らず1990年代からグローバルカーという名目で、特定の地域ではなく“世界で車を売る”というスタンスが浸透していきました。ただ、実際のところ、国によって合う車は千差万別で、車と土地のタイプが合わないねじれ現象が起きたんです。

 さらに、製造面ではパーツごとの分業の加速、デザイン面ではコンピューターの演算機能の発達によって“一番燃費が良いフォルムのロールモデル”がはじき出され、各社に大きな違いが出づらくなってしまった。これによりメーカー側の開発意欲も昔とは違ってきている気はしますね」(同氏)

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