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片山修「ずだぶくろ経営論」

パナソニックを蝕む「テスラ・リスク」…よぎる「プラズマテレビ過剰投資の悪夢」

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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 いよいよ「脱テスラ」を決断せざるを得ないのではないかと、少なからぬ報道関係者は思った。ところが、そうはならなかった。津賀氏は11月22日の記者会見で、「テスラ事業の赤字は一過性。黒字転換が見込める」と発言し、テスラ向け電池事業を構造的赤字事業の対象外とした。そして、「テスラとはパートナーであり続ける。私の役割は、パートナーであり続けることを担保すること」と断言した。さらに、津賀氏はこうも述べたのである。

「テスラはEVの中でもっとも高い可能性がある。テスラが赤字なら、その赤字を甘んじて受ける」

 パナソニックが現在、テスラ向け電池事業で最優先するのは、「ギガ・ファクトリー」の生産性の改善だ。「『ギガ・ファクトリー』は、年産能力が35ギガワット時に届いていない。それを早期に実現するのがファーストプライオリティだ」と、津賀氏は語る。

 果たして、「ギガ・ファクトリー」の生産性の改善は、テスラ向け電池事業を黒字化する切り札になるのだろうか。疑問はとけていない。

テスラとの温度差、拡大しないEV市場

 テスラは2019年10月23日、中国・上海市で建設中だったEVの新工場「上海ギガ・ファクトリー」において、「モデル3」の試作車の生産まで数週間のところにきていると発表した。「上海ギガ・ファクトリー」は、外国自動車メーカーによる中国初の工場であると同時に、テスラが初めて米国以外に設置する工場である。

 上海工場で生産される「モデル3」は、テスラの命運を握る極めて重要な試金石になるとされている。パナソニックとテスラの持ちつ持たれつの関係性から考えれば、上海で生産される「モデル3」には、当然、パナソニック製の電池が搭載されると考えるのが自然である。ところが、実際は違ったのだ。

「テスラの中国工場に関連して、われわれが中国に電池の生産拠点を構える具体的な計画は現時点ではない」

 津賀氏は11月22日の会見でそう明らかにしたうえで、テスラが中国工場でつくるEV向けの電池として、「中国で製造している電池メーカーの製品を採用されるのか、米国の『ギガ・ファクトリー』から運ばれるのかは、テスラが決めること」と述べたのである。これは、どういうことか。パナソニックとテスラとの間は、明らかに温度差が生まれていると考えていいだろう。

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