
作業服販売最大手のワークマンは11月20日、創業の地である群馬県でアウトドアやスポーツ向けの衣料を豊富に取り揃えた「ワークマンプラス伊勢崎宮子店」をオープンした。投資額は約6000万円。売り場面積は約400平方メートル。ショッピングセンター(SC)などで営業する店舗に比べて2倍近くの大きさだ。年間売上高は3億円を見込む。
同社にとって群馬県伊勢崎市は1980年に「職人の店ワークマン」を開いた創業の地。新型店「ワークマンプラス」の旗艦店を創業の地に開業するのは、第2の創業の意味が込められている。
東京株式市場でワークマンの株価はうなぎ上りだ。2019年10月16日、上場来高値の9650円を付けた。11月の最終日に当たる11月29日の終値は9060円。年明けの1月4日の3550円からの上昇率は2.6倍(上場来高値と比較すると2.7倍)になる。12月6日の終値は9470円(50円高)だった。時価総額は7693億円。東証マザーズ市場、ジャスダック市場の2市場を合わせた新興市場で首位。日本マクドナルドホールディングス(HD)の時価総額(7193億円)を上回っている。16日には終値が1万90円をつけ、上場来初となる1万円台となった。
作業服だった同社のブランドを街で着こなす「ワークマン女子」が増え、投資家の期待が、いやがうえでも膨らんだ側面がある。彼女らが愛用しているのは、プライベートブランド(PB)「フィールドコア」のレインジャケットやストレッチパンツなどだ。建築現場などでプロの作業員が着る仕様だけに丈夫。そのうえ、税込み1900円で買えるアイテムが多い。
今年の夏に、空調ファン付き作業服を販売した。空調ファン付きはアウトドアやスポーツ観戦でも着用できるカジュアルなデザインを増やしたことで、人気商品になった。
8月の既存店売上高は前年同月比55%増と爆発的に伸びた。伸び率は7月(16%)を突き抜けた。客数は34%増、客単価は15%上昇した。
躍進の原動力になったのが「ワークマン女子」。一昔前には考えられなかった言葉だが、男性向けに限らず、日常使いを意識した女性向けの商品の開発や、女性が入りやすい店づくりに努めた。これが奏功し男性ばかりだった顧客層が女性へと広がりを見せた。女性向けの衣料品販売は2018年に比べて2倍以上増えた。
作業服からアウトドア、スポーツ系の衣料へ大変身
実はワークマンは、ショッピンググセンターのベイシア、ホームセンターのカインズ、コンビニのセーブオンなどを擁する群馬の流通チェーン・ベイシア(当時はいせや)グループに属する専門店チェーンである。作業服のコーナーだけが独立して、1980年、ワークマンの1号店がオープンした。社名が示す通り、働く人のための作業服や軍手、安全靴などを専門に売ってきた。
防寒性に優れたブルゾンやジャンパーを取り揃え、なかでも驚くほど軽くて暖かいと評判のストレッチブルゾンが大ヒット商品となった。今や北海道から沖縄まで全国855店(2019年10月末時点)にまで拡大。「作業服のユニクロ」といわれるほどの一大勢力となった。