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東芝、「資産売却で利益捻出」経営が限界に…稼げる事業創出が死活問題に

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 今の同社の状況を考えると、世界の半導体企業などとの差は拡大してしまう恐れがある。さらに、中国ではファーウェイやアリババなどが最先端のICチップ開発に取り組み、競争は激化している。東芝の利害関係者のなかには、そうした変化への対応力を危惧し、半導体事業の売却に難色を示したものもいたようだ。

 すでに、5G通信普及の動きを受けて、世界経済の一部には変化が現れている。米国などでは、一部のIT先端企業の業績反転の期待が出ている。景気減速が鮮明化している韓国でも、5G関連の需要を取り込むことによって、サムスン電子の業績が底入れを迎えた兆しもあるようだ。そうした動きがどの程度続くかは不透明だが、半導体事業を手放した東芝が変化に対応することは難しいと考えられる。

リストラによるコストカット頼みの収益獲得

 今なお東芝は、リストラによるコストカットなどによって収益を確保している。一方、東芝は、半導体事業に加え医療事業という成長ビジネスも売却せざるを得なかった。ただ、未来永劫、資産を売却し続けることはできない。東芝にとって、相対的に成長期待の高い分野に進出し、新しい収益の柱を確立することは、避けて通ることができない。

 東芝の第2四半期決算資料を見た印象として、同社が新しいビジネスモデルを整備し、収益力の向上を実現するにはまだ時間がかかりそうだ。2019年度上期の営業利益は521億円だった。内訳をみると、調達改革によって124億円の利益が確保された。また、子会社の売却などによって200億円超の収益も確保されている。言い換えれば、東芝は資産の売却などと、コストの削減を進めることによって収益を絞り出しているというべき状況にあると考えられる。資産の売却を進めることによって、企業は一時的に収益を確保したり、自己資本を増強したりすることはできる。

 しかし、それには限界がある。資産の売却を続けると、企業そのものの存続が難しくなる。端的に、資産の売却を続けると、企業そのものがなくなってしまうだろう。

 また、コストの圧縮などによって従業員の士気が低下することも考えられる。それは、組織の不安定化につながるだろう。自社の将来への不安心理が高まれば、優秀な人材を確保することも難しくなるだろう。それは、研究開発などを強化して新しいプロダクトやサービスなどの創出を目指すにはマイナスだ。

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