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東芝、「資産売却で利益捻出」経営が限界に…稼げる事業創出が死活問題に

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 東芝の経営再建は道半ばと考えられる。すでに、中国経済は景気刺激策を強化しても成長率の回復が難しくなっている。中国では過剰生産能力や債務問題も深刻だ。短期間で中国のインフラ投資などが急増し、東芝の関連事業の収益が大きく伸びる展開は想定しづらい。米国全体でも設備投資は鈍化しつつある。世界経済の不確定要素が増えるに伴い、東芝の業績も不安定に推移する可能性がある。

東芝に求められる強い経営力

 東芝はそうしたリスクに対応しつつ、長期的に成長を実現しなければならない。そのためには、経営陣が改革を完遂して新しい収益源を確立することが欠かせない。同社の経営陣に求められることは、構造改革をやり遂げ、迅速に成長分野に進出することだ。

 具体的に求められる取り組みは、経営陣が自社の進むべき方向(国、事業など)を明確に定め、組織全体が同じ方向を向いて新しい取り組みを進める環境を整備することだろう。ひとつのチャンスとなる可能性があるのが、東南アジアの新興国だ。

 現在、米中の貿易摩擦の影響などから、世界的にサプライチェーンが混乱している。それには、労働コストの上昇により“世界の工場”としての中国の地位が低下していることも影響している。そうした要因に押され、多くの企業が中国からベトナムやタイ、インドネシアなどの東南アジア諸国に生産拠点などを移し始めている。

 また、米中の貿易摩擦にはIT先端分野での覇権国争いの側面がある。覇権国争いは短期間で決着できるものではないだろう。世界的なサプライチェーンの混乱が落ち着くまでには時間がかかると考えられる。見方を変えれば、世界経済全体では先行きへの懸念が高まりつつあるなか、東南アジアの新興国の一部では製造業などの基盤整備をはじめとするチャンスの萌芽が膨らみつつあるといえる。

 東芝がそうした変化をとらえることができれば、将来の展開にはかなりの違いがあるだろう。東南アジア新興国において東芝がIT先端技術などを用いて物流の効率化や省人化に関するテクノロジーを供給し、社会インフラのソリューション・プロバイダーとしての存在感を発揮するチャンスはあるはずだ。そうした取り組みは社会インフラ事業を軸に成長を目指す東芝経営陣の戦略にも合致するだろう。

 それがどうなるかは、経営陣の意思決定にかかっている。先行きの不確実性が高まるなかで、経営陣がそうしたチャンスに着目し積極的かつ迅速に新しい取り組みを進めることが、東芝の収益基盤の強化と企業としての長期存続に無視できない影響を与えるだろう。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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