また、日立の経営トップは経営の効率化を高めることにも積極的に取り組んできた。そのひとつが、上場企業の完全子会社化だ。過去10年間で日立の上場子会社数は22社から4社に減った。その背景には、いくつかの理由がある。

 まず、低収益事業の売却を進め、資本の効率性を高めることがある。東原社長の経営を見ていると、日立経営陣は組織全体に対して自らネットワーク・テクノロジーがもたらす変化を取り込み、成長を目指すことを求めている。同社が営業利益10%という目標を掲げていることを見ても、選択と集中に関する経営トップのコミットメントは非常に強いといえる。かつて“御三家”と称され日立の収益を支えてきた中核子会社に関しても例外はないようだ。すでに同社は昭和電工に日立化成買収に関する優先交渉権を与えたと報道されている。

 また、意思決定のスピード化も上場子会社の売却などが進められた理由のひとつだろう。上場企業の経営意思決定は、株主の要求や期待など、多様な利害に影響される。一つひとつの利害を調整することが、長期存続のために必要な意思決定に至るとは限らない。

必要なソフトウェア開発力の強化

 日立は改革によって得られた経営資源を用いて、人工知能など先端分野のソフトウェア開発力を引き上げようとしている。その取り組みの代表例が、「ルマーダ」事業だ。ルマーダは、IoTプラットフォーム事業である。ルマーダには人工知能が搭載され、顧客企業のデータを分析し、より良い業務運営プロセスの提案などが目指されている。

 ルマーダの活用を見ていると、従来のモノづくりを基盤としてきた日立の経営風土が大きく変わろうとしていることがわかるだろう。それを考える際、ほかの企業などとの“協働”と念頭に置くとわかりやすいように思う。日立は異業種の企業と協働し、ルマーダを用いた生産、発注、物流などさまざまなプロセスの自動化や業務フロー構築にかかる時間短縮に取り組んでいる。その多くはベテラン社員の判断によって行われてきたものだ。ルマーダを用いることによって、クライアント企業は労働生産性を向上することができる。

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合

関連記事