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木下隆之「クルマ激辛定食」

レクサスLC“コンバーチブル”の全貌が明らかに…「完全美」の裏に通常と真逆の開発工程

文=木下隆之/レーシングドライバー
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レクサス「LC500」

 トヨタ自動車レクサスブランドの浮沈を委ねているのが、「LC500」であることは明白だ。フラッグシップLSで高級イメージを牽引しつつ、一方でレクサスには躍動的な雰囲気も不可欠である。そのスポーツイメージを担っているのがLC500だからだ。

 そんなLC500に、コンバーチブルが加わった。コンバーチブルとは、屋根付きとオープンカーの切り替えが可能なタイプのクルマのことだ。米ロサンゼルスモーターショーの会場で、華やかにベールを脱いだのだ。

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 レクサスのモーターショーのステージは、白地で統一されている。毛足の長い絨毯も白系であり、壁やライト類も白い。淡いブルーの照明がアクセントになっているものの、白系での統一が、レクサスに清潔感あるイメージを与えている。

 この雰囲気は世界中どこでも同じだ。デトロイトショーでもジュネーブショーでも北京ショーでも、もちろん東京モーターショーでも同様に、白基調で統一されている。

 そんなレクサスブースでスポットライトを浴びるLCコンバーチブルは、ひときわ美しかった。前後左右どの角度から眺めても破綻の糸口はない。クルマという乗り物ではなく、クリスタルのケースに閉じ込めて飾っておきたくなる作品のように見える。

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 それもそのはず、LCコンバーチブルは、クーペボディの開発段階から企画されていたという。2017年にデビューしたときにはすでに、デザインスタジオにはコンバーチブルが存在していたのだ。妖艶な姿態は美しく、非の打ち所がないのは、それが理由なのだろう。

 電動キャンバストップルーフは、ものの見事にドライバーズシートの背後に格納されている。全体のシルエットを阻害するようなコブや凹みはない。フロントからの流れが格納部分で寸断されることなく、そのまま自然に背後まで導かれるのだ。

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 なぜクーペボディの開発時から企画されていなければ美しいボディにならないのか。その答えは、LCコンバーチブル開発責任者の武藤康史チーフエンジニアのコメントにある。

「クーペの屋根をカットするだけでは、美しいコンバーチブルは成立しません。どこにルーフを格納するのか、ボディ剛性をどこで確保するのか、あらかじめ決めておかなければならないのです」

 屋根を折りたたんで収納するには、スペース的な犠牲が強いられる。ドライバーズシートの背後に格納するのが一般的だが、そこにはたいがいトランクとの隔壁があり、給油キャップからガソリンタンクまでの配管が流れる。

 ルーフというボディの構造部材がなくなることで、一般的には50%低下するボディ剛性をどこで補うかも悩まされる課題だろう。

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 燃料の配管レイアウトを変更することや隔壁をカットすることは、クルマを1台つくり変えるほどのコストが掛かる。それはできない。だからブサイクを承知で隠すことになる。

 ボディ剛性確保のためには、決して効果的ではない箇所に無理やりパイプをはわせたり溶接することになる。プラットフォームの板厚を増す。だから走りの性能にも悪影響が残る。いたずらに重量増を招くかもしれない。このような不具合が生じるわけだ。それが後から企画されたコンバーチブルが醜い理由なのである。

 そんななかでLCコンバーチブルが思わず溜息が漏れるほどに、息を飲むほどに美しいわけは、2017年のクーペデビュー時にはもちろんのこと、さかのぼること2013年あたりの開発初期から発売を計画していたからなのである。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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