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木下隆之「クルマ激辛定食」

“個人向け”7.5億円の超豪華クルーザーが日本に輸入されていた…全長25m、部屋多数

文=木下隆之/レーシングドライバー
個人向け7.5億円の超豪華クルーザーが日本に輸入されていた…全長25m、部屋多数の画像1
「アジムットグランデ25m」

 四方を海に囲まれている島国・日本が海洋大国となったのは、当然の流れだ。それゆえに、商業船には長い歴史がある。だが、最近は中国、韓国の造船会社がシェアを伸ばしてきており、日本は苦しい立場にあるのも事実。

 同様に、プレジャーボート市場においても日本は劣勢である。トヨタ自動車やヤマハ発動機がプレジャーボートを製造販売し、少なくないマリンフリークを支えているものの、欧米勢の圧力は強い。特に“メガクルーザー”と呼ばれる80フィート級以上のボートは100%海外艇に依存しているのが現状だ。

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 1億円超のボートはない。ましてや5億円、10億円もするプレジャーボートは、完全に海外勢に独占されているのだ。

 今回、筆者が試乗の機会を得た「アジムットグランデ25m」は、大型クルーザーを開発していない日本へ超高級プレジャーボートを提供する数少ないマリーナである安田造船所が輸入したクルーザーだ。

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 アジムットはイタリアのサロンクルーザーのブランドで、日本にも熱狂的なファンがいる。不肖、私も日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員を拝命し、ボートに接するようになって30年近くなるけれど、85フィート級のプレジャーボートを操船する機会は、そう多くはない。しかも、最新艇を羽田沖でクルージングできるなんて、夢のようなのだ。

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 販売価格は7億5000万円。もはや個人所有の限界を超えている。1級船舶免許で操船可能なのが不思議なほどである。実際には数名のクルーが帯同していないと出航は困難だ。あんぐり口が開いてしまうほどの性能を紹介しよう。

 全長は約25m。エンジンはMAN製のV12気筒ディーゼルで最高出力は1650馬力。それを2基搭載しているため、合計出力は3300馬力に達する。船の走行抵抗は想像を絶する。「象を引いているようだ」とは、頻繁に聞く例え話だ。そのため、3300馬力でも驚かないが、それゆえに燃料消費は400リッター/1時間だという(海上では距離の概念が曖昧なため時間で表す)。ちなみに、燃料タンクの容量は7200リッターである。

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 もはや、客船スケールである。恥ずかしい話、筆者はMAN製のエンジンを動かすのは初めてである。一般的には商業船に積まれることが多いエンジンであるため、プレジャーボートで経験するのは珍しいのである。

 乗車定員は22名。オーナーズルームとゲストルームは4部屋でベッドは8名分。そのほかに2名のクルー用の部屋とベッドが備わっている。キッチンはゲスト用とクルー用でセパレートされている。この世界では、ゲストとクルーが船内ですれ違うことが基本的にはタブーとされている。導線も分けられているのだ。

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 それでも実際に操船すると、なんとか自由にクルーズさせることができる。柔軟な機動性を披露したのである。

 スロットルをオンにしてから安定した姿勢でプレーニングするまでには1分以上の時間がかかるものの、安定してしまえば振動は少なく、波を優しく切り裂いてくれた。ゼロスタビライザーと呼ばれる姿勢安定システムが採用されているため、不快な傾きもない。優雅なクルージングが可能なのである。

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 それにしても、日本にはまだパワフルなビジネスパーソンが少なくないのだと思う。7億5000万円のクルーザーを購入する方々がいるのである。日本のマリン市場も捨てたものではない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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