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超優良企業ファナックに変調…利益「6割減」の凄まじい落ち込み

文=編集部
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ファナックの支店(「Wikipedia」より/Miyuki Meinaka)

 東京証券取引所1部上場企業の2019年9月中間決算の業績は、最終利益が前年同期比7.6%減と3年ぶりのマイナスとなった(SMBC日興証券調べ)。米中貿易摩擦や世界経済減速の影響から、特に製造業の最終利益は17.8%減。業種別では、石油・石炭製品と鉄鋼は約8割減、非鉄金属は約5割減、ゴム製品は約4割減だった。電機や機械、自動車の落ち込みが目立った。

業績予想を2度の下方修正

 超優良企業の代名詞だったファナックは2020年3月期の連結業績予想を下方修正した。売上高は前期比21%減の5045億円、営業利益は同58%減の691億円、純利益は同62%減の579億円の見通し。従来予想は売上高が5242億円、営業利益は713億円、純利益は603億円だった。今期の下方修正は2度目である。

「中国の需要家は投資に様子見の姿勢が強い。受注状況は想定以上によくない」

 山梨県忍野村の本社で開いたアナリスト向け説明会で、山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)は、通期業績を下方修正した理由をこう述べた。19年9月中間期は、売上高が前年同期比24%減の2609億円、営業利益は同50%減の490億円、純利益は同51%減の401億円となった。売上高営業利益率は18.8%。最盛期の42.5%(11年3月期)には遠く及ばないものの、世界のエクセレントカンパニーの条件である営業利益率15%はクリアしている。これだけ業績が悪化しても優良企業であることに変わりはない。

FAとロボマシンの受注が落ち込む

 ファナックの事業構造は、工作機械の頭脳にあたる数値制御(NC)装置を中心とするFA(工場の自動化)、ロボット、ロボマシン、サービスからなる。NC事業は世界シェアの50%程度を押さえ、ロボット分野でもスイスのABBと並ぶ大手だ。

 19年9月中間期決算によると、中国をはじめとした自動車需要の落ち込みで顧客が設備投資を抑制。米中貿易戦争が追い打ちをかけ、7~9月期の受注高は1234億円と前年7~9月期に比べ16%減った。FA部門の受注高は35%減の297億円に激減した。中国市場での需要が落ち込んだほか、中国市場に依存している台湾でも受注が減少した。スマートフォンの加工向けの工作機械であるロボマシンの受注高も172億円で31%減った。世界的なスマホ需要の一服で投資に勢いがなくなった。

 そんななかで、投資家の関心を集めたのがロボットだ。7~9月期の受注高は前年同期比3%増の536億円と2四半期連続で上向いた。欧州、中国で自動車向けをはじめ全般的に減少したが、北米の自動車関連向けの需要が底堅かった。ロボット部門の売上は全体の38%を占め、FA部門(29%)を上回る。高収益のFA部門の売上が激減したことが、利益の減少に直結した。

 ファナックの業績は中国の景況を敏感に反映してきた。中国政府はIT技術を用いて2025年に世界最高水準の生産能力の向上を目指す「中国製造2025」を掲げる。これがロボットやNCの需要を高め、ファナックの業績拡大につながった。だが、中国からの7~9月期の受注高は前年同期16%減の186億円に落ち込んだ。台湾・韓国など中国以外のアジアの受注高も40%減の149億円だ。2年前の17年7~9月期のアジア(中国・台湾・韓国などの合算)の受注高が837億円あったから、凄まじい落ち込みぶりだ。

 ファナックは、2020年以降の市況回復をにらみ、ロボット事業をテコ入れする。だが、米中貿易戦争の先行きは見通せない。高収益企業ファナックにとって、中国が最大のリスク要因となった。

(文=編集部)

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