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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

発熱翌日に死亡…インフルエンザ脳症の怖ろしさ、小児の解熱剤や総合感冒薬服用は要注意

文=吉澤理恵/薬剤師、医療ジャーナリスト
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「Getty Images」より

 例年よりも早いインフルエンザ感染の広がりを受け、ワクチン接種などの予防対策が呼びかけられていたが、長野県内の小学校に通う女子児童がインフルエンザ脳症で死亡していたことが明らかになった。

 死亡したのは、長野県の南信地方に住む小学6年生の女子児童だという。報道によると、女子児童は12月14日に発熱、医療機関でインフルエンザと診断され、翌15日にインフルエンザ脳症で亡くなった。

 過去の罹患から5歳未満の低年齢児の発症が多いといわれるインフルエンザ脳症だが、今回亡くなったのは小学6年生であり、あらためてインフルエンザの怖さを感じる。

インフルエンザ脳症とは

 インフルエンザ脳症では、痙攣、意識障害、異常行動などの神経症状が見られる。発症以降の進行は急激であり、発熱後1~2日で神経症状が進行する。今回の女児のケースでも、13日は普段通りの様子で登校していたが、14日に発熱、15日にインフルエンザ脳症により死亡と、急激に進行していることがわかる。

 インフルエンザ脳症の原因ははっきりと解明されていないが、全身症状の悪化や血管系のダメージ、過剰な免疫反応などによるものと考えられる。インフルエンザ脳症に特化した治療法はなく、対症療法のみである。インフルエンザの予防こそが、インフルエンザ脳症を避ける有効な手段といえる。

 しかしながら、小児においてはインフルエンザ脳症を招きやすい解熱剤があるため、注意が必要である。

 アスピリン、アスピリン・アスコルビン酸、アスピリン・ダイアルミネート、サリチル酸ナトリウム、サザピリン、サリチルアミド及びエテンザミドなどのサリチル酸系医薬品、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸を成分とする解熱鎮痛剤や総合感冒薬は、小児のインフルエンザやインフルエンザが疑われる場合には避けるべき薬剤である。

 インフルエンザの本格的な流行は、これからである。今からでもワクチン接種は遅くない。特に幼児や高齢者がいる場合は、予防対策を講じてほしい。
(文=吉澤理恵/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

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