ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 英語民間試験導入の戦犯は慶應元塾長  > 3ページ目
NEW

英語民間試験導入の戦犯は慶應元塾長&ベネッセ利害関係者だった…大学入試の公平性歪める

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,

 今回の文科省の大失態を象徴しているのが、全国高等学校長協会が、英語民間試験の活用と記述式問題の導入の双方に関して正式に疑問を呈していたことです。高校長協会は、文科省に対して滅多に反対しない組織です。その方たちが「ちょっとこれは無理だと思います」と一生懸命、反論していました。この政策がいかにダメかということの証左ではないでしょうか。

 文科省に猛省を促したいです。どんなに力のある政治家が、強力に言ったとしても、「それはできません」とちゃんと言うことが大事です。出世したいのはわかるけれど、子どもたちや国民のためにならないと思う政策については、はっきりNOと言うべきだったのです。

 かつて「ミスター文部省」と呼ばれ、旧文部省大臣官房審議官として「ゆとり教育」推進の最前線に立っていた寺脇研氏は、異例の降格人事で閑職に飛ばされても、文部省にとどまって自分の仕事を続けていました。ああいう生き方を今の公務員も見習えば、森友学園や加計学園の問題も起きていなかったでしょう。

 いずれにしても下村氏、安西氏、鈴木氏の3氏には、自分が今回の政策決定の各局面でどのように行動したのかを語ってもらいたいと考えています。負け惜しみのように「このままでは日本の子どもたちが世界に取り残される」というように国民の不安を煽るのではなく、自分たちの何が問題だったのかを分析してもらいたいと思います。

安西氏の参考人招致が必要

――下村、安西、鈴木3氏の政策への関与を真っ向から指摘する声は大きくなりつつあります。具体的にどのような介入が行われたのでしょうか。

川内 記述式に関して言えば、中教審の高大接続改革特別部会の議論では当初、共通テストに「記述式」をいれるのは無理という議論の流れが主流でした。ところが、部会長の安西氏が「新しい高大接続メモ 2014年8月22日 部会長メモ」(通称:安西メモ)を提出したことで、潮目が変わりました。このメモに、安西氏は「記述式の設問を導入」を明記しています。「導入すべき」でも「導入を検討」でもなく「導入」です。この段階で記述式試験の導入が既定路線化していきました。

 「安西メモ」は分厚いメモです。いろいろな入試についてのさまざまな専門用語が頻出します。安西氏は工学部の教授で、そもそも入試の専門家ではありません。ひとりでつくったとは思えません。そこで、私が文科省に「手伝ったのか」と聞いたら「文科省は手伝っていない」と回答がありました。文科省を通じ、安西先生に対して「誰に手伝ってもらったのか」を聞いたところ、安西氏は「記憶にない」と回答しました。

 政策立案時に、ご自分が何をしたのか正直に言っていただきたいと思います。そのうえで議論をしたいです。安西氏には今後、国会に参考人として来ていただき、きっちりお話を聞かせていただこうと思っています。

 安西氏はメモ提出後の14年11月、「一般財団法人進学基準研究機構(CEES)」の評議員になられました。同法人は通信教育大手のベネッセ東京本部の社内にあります。複数ある英語民間試験導入時に最も有力とされていた「GTEC」をベネッセとともに共催するのがこのCEESでした。

 そして、鈴木寛氏はベネッセの創業者一族が運営する公益財団法人「福武財団」の理事を務めています。英語民間試験でも記述式試験でも、彼らは利害関係者だったのです。

なぜ利害関係があったことを隠すのか

――「プレイヤーとジャッジが一緒」という構図ですね。

川内 少なくとも安西氏と鈴木氏には、世の中の皆さんに対して、まず自分たちはベネッセの利害関係者であることを正直に明らかにすべきだと思います。

――あくまで延期と見送りなので今後、国会で審議が続いていくとは思いますが。

川内 入学試験制度に関わる多くの人たちを振り回した今回の大失敗が、どういう経緯でここまで引きずってきてしまったのか、責任の所在を国会で明らかにしなければなりません。安倍晋三首相は「教育が大事」だとか、「子どもたちにもっと良い学びをしてもらいたい」と謳っています。素晴らしいことです。それについては誰も否定しません。

 ただそれを実現するために、特定の人々があらかじめ結論を決めていて、その結論をオーソライズするためだけに議論することが問題だと思うのです。与野党を超えて、それぞれファクトを出し合い、教育に関する論文などを踏まえて議論してほしいと思っています。萩生田大臣は、1年間かけて検討するとしていますが1年で結論が出る問題ではないと思います。時間をかけてじっくりと高大接続とはなんぞやということについて、まさに「主体的で対話的な深い議論」を実現してほしいと思います。

(構成=編集部)

 

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

英語民間試験導入の戦犯は慶應元塾長&ベネッセ利害関係者だった…大学入試の公平性歪めるのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!