
桜美林大学が2020年から芸術文化学群の英語の授業を「外注化」すると学内に通知したものの、詳細を説明しないことから、非常勤講師が所属する2組合が労働委員会に不当労働行為救済の申し立てをしたことを先月伝えた(当サイト記事『桜美林大学、文科省が禁止する“授業外注化”強行…解雇恐れる講師との団体交渉を拒否』)。
その後、事態は動いた。桜美林大学は首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉には応じ、2020年に外注化する通知は「間違い」だったと説明。事実上の撤回となった。
しかし、大学は2021年に外注化を実施すると述べ、組合側が懸念する講師の解雇や雇い止めの有無については「団体交渉の事案が発生しないように努力する」と述べるに留まっている。その一方で、外国人講師が所属する組合とは、現在も団体交渉を開いていない。桜美林大学の英語授業の外注化について、続報をお伝えする。
労働委員会への救済申し立て報道を受けて団体交渉開催か
桜美林大学が2020年から芸術文化学群の英語の授業をすべて外注化すると学内に通知したのは、今年7月。72コマの授業はすべて非常勤講師が担当しているが、講師たちの処遇が10月になっても明らかにされなかった。それどころか、首都圏大学非常勤講師組合と、外国人講師が所属する全国一般東京ゼネラルユニオンの2組合が団体交渉を要求しても、開催されることがなかった。
そのため、2つの組合は10月下旬に、桜美林大学の対応は不当労働行為だとして、東京都と神奈川県の労働委員会に救済を申し立てた。10月29日には神奈川県庁で記者会見し、この様子はテレビや新聞などのメディアにも取り上げられた。
この報道が影響したのか、11月14日、桜美林大学は首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉に初めて応じた。組合側は団体交渉に出席する人数を制限しないように求めたが、大学側が譲らないため、組合が折れるかたちで開催された。その場で大学側が明かしたのは、今年7月の通知そのものを覆す内容だった。
2020年からの外注化は「間違い」?
大学が今年7月に英語を担当する教員に対しニュースレターで通知していたのは、来年度から芸術文化学群の英語の授業を、ベネッセグループ傘下で英会話教室などを運営するベルリッツ・ジャパンに外注化すること。さらに、その結果として担当科目に大幅な変更が生じると伝えていた。