NEW
木村隆志「現代放送のミカタ」

『スカーレット』地味な前編は劇的な後編への前振りか…視聴率苦戦でも好評の理由

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
【この記事のキーワード】

, , , ,

『スカーレット』地味な前編は劇的な後編への前振りか…視聴率苦戦でも好評の理由の画像1
連続テレビ小説『スカーレット』|NHKオンライン」より

 朝ドラ100作目で何かと話題となっていた前作『なつぞら』と比べると、メディアの記事やSNSの書き込みが少なく存在感の薄い『スカーレット』(NHK)。視聴率も週平均10%台に落ち込むなど、NHKとしてもここまでは「成功」とは言いづらい結果となっている。

 ただ、見ている人々の評判はむしろ良く、『なつぞら』を引き合いに出して称賛する声も目立つ。とりわけ、12月に入ってからの前編終盤は「今年一番感動した」「朝ドラで久々に泣いた」などの書き込みも見られた。

 101作目の朝ドラ『スカーレット』とは、いったいどんな作品なのか? 年をまたぐタイミングで、作品の本質と後編の見どころを整理しておきたい。

家族に始まり、家族に終わった前編

 まず、ここまでのストーリーを振り返ると、ドラマは昭和22年、三姉妹の長女として生まれた川原喜美子(戸田恵梨香)が9歳の頃からスタート。父・常治(北村一輝)、母・マツ(富田靖子)、2人の妹と大阪から滋賀県・信楽に移住したが、給食費も払えないほどの貧乏暮らしで、喜美子は絵の才能こそ発揮していたものの、中学卒業後は家族のために大阪で女中として働くことになる。

 喜美子はひとり、家族と離れて女中をしながら内職もこなし、美術学校への進学を志し始めるが、家族のさらなる窮状を知って再び信楽へ。「丸熊陶業」の社員食堂で働きながら深野心仙(イッセー尾形)に弟子入りして絵付けの修行に励み、信楽初の女性絵付け師となる。しかし、順風満帆とはいかず、会社の業務方針が変わり、師匠の深野と別れることになってしまった。

 そんな喜美子は、丸熊陶業の商品開発室で働く十代田八郎(松下洸平)から陶芸を教えてもらうことで、彼と急接近。2人は結婚を考えるが、八郎が陶芸家を目指していることを知った常治に猛反対されてしまう。喜美子と八郎による必死の説得と「展覧会での入賞」という条件をクリアしたことで結婚を認められ、その後2人は工房を立ち上げ、長男・武志が生まれ、さらに常治が亡くなったところで前編を終えた。

 まさに、家族に始まり、家族に終わる。前編で貫かれていたのは“川原家”を描いた家族の物語であり、昭和の人間模様。家族思いだが、自己中心的で娘に古い価値観を押し付ける父。黙って夫を支え、娘たちに優しく接する母。両親と妹たちを家事と家計の両面で支える長女。その長女に甘えながらもすくすくと成長する次女と三女。恋人の父親に交際を猛反対されたが、熱意と約束で許しをもらい養子に入った婿……。

 まさに“昭和のホームドラマ”ど真ん中であり、3カ月間78話をこの1テーマだけで描いてきたことに驚かされる。複数のテーマと急展開で視聴者の興味を引こうとした『半分、青い。』『まんぷく』『なつぞら』とは真逆のスタンスであり、どこか古き良き昭和のホームドラマというムードが漂っていた。

『まんぷく』のような尻上がりの後編へ

 特筆すべきは、スタート前から「女性陶芸家の草分けとなる」と予告されていたにもかかわらず、「前編の終盤でようやくその兆しが見られた」というスローペース。これは、1年前に同じNHK大阪放送局が制作した『まんぷく』に近いものがある。同作も当初から「インスタントラーメンを開発する」ことが明らかでありながら、実際にそのシーンが描かれたのは後編に入ってからだった。

『話しかけなくていい! 会話術』 「話がうまい人」になる必要はない。無言でも、ひと言でも、人に好かれるための画期的コミュニケーション術! amazon_associate_logo.jpg
『嵐の愛され力~幸せな人生をつかむ36のポイント~』 嵐に学ぶ人から好かれる、人を好きになれる人間力の磨き方。明日から使える36個の“○○力”。年齢・性別を問わずマスターできる。 amazon_associate_logo.jpg

関連記事